14話
「………」
ふて腐れたような顔をしていたむつだったが、父親の言葉を聞いているうちにそんな顔もしていられなくなったのかもしれない。引いていた涙が、じわじわと浮かんでくるのが分かった。
「一緒に過ごしてきたから、兄さんたちと同じ家族だと思っていたのは、父さんだけだったのか?むつはそうは思ってはくれないのか?」
「…そんな事は…でも、宮前家の子供じゃないって知った時から…何となく…どう接したらいいか分からなくて…話してても…疎外感っていうか…あ、むつは部外者なんだって気がしてた」
「隠していたのが悪かったのかもしれないな…でも、言えばむつが気を遣うだろうなと思うと言えなかった。小さい時から見てきたむつが居なくなるのは…想像するだけでも嫌だった」
「…難しい問題」
「そうだな…でも、引き取った事を後悔した事はない。特に…宮前家はどうしてだか男系家族だからな。女の子が居るとこうも華やかになるのかと、感じられた」
「もれなく、むさ苦しい顔ばっかりだし」
「それもそうだな。皆、身体が大きいから、余計にな…むつが帰りたくないって思う原因には、それもあるのかもな」
「かもしれない…」




