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14話
「まぁ…あれだ…良かったと思ってる。むつを引き取ってくれたのが宮前の者たちでな…そのうち、むつを連れて墓参りも行く…話したい事は沢山あるんだけどな。お前がこうして顔を見せる事なんて今まで無かったから…でも、時間ないみたいだな」
「………」
酒井が泣きそうな顔をすると、むつは本当に父親と酒井は仲が良かったんだなと思った。そして酒井の言う通り、きとんと墓参りに行こうと思った。そこに両親が居ようと居まいと。
「すぐる…お前もみずきも確かにむつの中に居るよ。本当に…どっちにも似てて見てて飽きない」
むつのように酒井は、炎に触れようとはしない。だが、しっかり炎から目は離さない。むつの知らない、すぐるの面影をその炎の中に見ているのかもしれなかった。




