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14話
崖下から、ごおごおと音を立てて火柱が上がったのだった。それは今までに、むつが生み出した事も、見た事もないくらいの巨大で力強いものだった。その火柱はむつの目の前を通りすぎ、さらに上へ上へと昇っていく。
雲を突き抜けた炎の勢いは、収まる事はない。ごおごおと吹き上がる炎は、辺りを明るく暖かくしてくれる。むつはその炎を見上げながら、はぁと溜め息を漏らした。疲れきったような、安心したようなそんな感じだった。
しばらくは勢いよく燃え上がっていた炎だったが、ゆっくりと弱まり火柱も細くなっていった。雲を突き抜けていた炎は短くなり、だんだんとその先が見えてきている。
むつはそんな炎を見ながら、少し悲しそうに微笑んでいる。その様子を隣に居る男も、冬四郎も何も言わずに見ていた。




