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14話
「京井さん…」
さらっと撫でただけだというのに、炎はすっかり消えている。だが、そのかわりに京井の尻尾に、炎が移っている。
「…すでに制御出来てないみたいですね」
困った事になった、と呟いた京井は尻尾をばしんっと地面に叩き付けた。それだけで、地震がきたのかと思うほどに揺れた。もう1度、ばしんっと尻尾を叩き付けると、今度こそ炎は消えていた。
降りかかった火の粉は払えたが、まだ気を付けなくてはならない。あちこちで、炎はゆらゆらとしている。安易にむつに近付けないのは、狐も同じなのだろう。先程よりもむつから離れていた。




