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14話
「え?」
急に燃え上がった炎は、火車の手を離れて消えたはずだった。だが、それは細かな火の粉として残っていたのかもしれない。オレンジ色の芥子粒のような炎が、あちらこちらで上がっている。
「っ!?火車、お前の炎が…」
それはら地面に落ちても消えずに、淡いオレンジ色の光を発している。そして、燃え移る物もないというのに、ぽっと大きく燃え上がる。それもあちらこちらからだった。
「さっ酒井!!」
スーツに火の粉が飛んでいたのか、酒井のズボンから火の手が上がっていた。火車は慌てて、砂をかき集めるとそれを炎の上にかけて鎮火させようとしている。だが、ただの炎にみえてそうでもないのか、炎は砂をかけられたくらいでは消える事がない。
「あっつう‼やばい、やばい‼酒井が死ぬ」
消えない炎に慌てているのか、火車はばしばしとズボンを叩いたり、かき集めた砂をこれでもかと乗せている。




