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2話
量としては茶碗1膳ほどの量ではあるが、白米と粥とでは量が全然違う。むつは、何とか粥を食べきるとふぅと息をついた。それだけでも、かなり疲れたような様子を見せている。茶碗を片付けて、静かに茶を飲んでいたむつは、きょろっと辺りを見回した。
「…お母さん」
「はい?」
「仕事の後でね…」
「お父さんの所ね?いってらっしゃい」
「いいの?」
「当たり前じゃないの。お父さんに会うのに、私の顔色なんて伺って…変な子ね。何も別居でも離婚したわけじゃないんですもの」
くすくすっと笑いながら、母親はむつの茶碗を片付けた。むつは家事をしている母親の後ろ姿を、ぼんやりと見ながら少しだけ、結婚っていいものなのかもと思ったりもしていた。だが、それは何の理由もなく、ただ何となくというだけだった。