100/1084
2話
見合いの事以外にも、何か喧嘩の元になるような事がありそうな気がしたが、むつは聞かずに粥をすすっていた。
むつは粥をすすりながら、ぼんやりと見合いの事を考えていた。昨日は突然の事に驚いて、まともに考えられなかったが、今ならゆっくりと考えられる。温かい粥と、ゆっくりとした朝の時間のおかげかもしれない。
自分に興味を好感を持ってくれるというのは、相手が分からないにしても嬉しい事だった。だが、見合いというのに父親は名前も言わなければ写真もないと言った。父親の紹介だから、まぁ仕方ないかと思わないでもないが、そうなってくると気になる。むつの性格なのか、気になりだしたら分からないままでは、済ませたくない。だからと言って、このまま見合いに行くというのは、何となく負けた気がしなくもない。むつは、眉間にシワを寄せていた。
「むつ。考えてる事が顔に出てるわよ」
「…え?」
母親の温かくほっそりとした指が伸びてきて、むつの眉間をぐりぐりと押した。
「跡が消えなくなるわよ?」
「…はぁい」