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宅配ドライバーの呟き

作者: 神名代洸
掲載日:2016/06/22

私は宅配ドライバー。

いつもお客様の荷物を宅配している。

そんな私の生活で恐ろしい体験をしたのはあの時が最初で最後だろう…。

その話をします。



いつもの集積場で荷物の配達のため受け取りチェックをかける。そして数を確認して出発したのだが、最近ではカーナビを使い地図通りに車を走らせる事が多い。配達する順番は出発時に決めている。

冷凍室完備なのでチルドも扱っている。


「今日も配達の荷物多いな〜。」そう言いながら一軒目の家に到着した。

それから二件目3件目と周り、お昼過ぎには半数を裁く事ができた。

途中休憩を挟み、体をほぐして配達を再開した。

そして最後の家を終えた時、1つの積荷が残っている事に気がついた。

「ん?確か全部回ったはずだけどな〜?」

しかし見てみると宛先は書かれているが差出人の名前はない。

普通ならちゃんと書かれている。

宛先を確認するととりあえず向かう事にした私はそれから30分かけて目的場所に到着した。

そこは朽ち果てた建物のように見えた。

雑草が生い茂り、管理も行き届いていないようだ。

一瞬入りたくない…そう思った。でも配達荷物がある。行くしかない。

重い足取りで建物内へと入っていった。

ベルボタンがあったので鳴らしてみる。

ピンポーン。

誰も出てくる気配はない。


気を取り直して再度チャイムを鳴らす。

ガチャ、ギーという音とともに玄関のドアが開いた。そこに立っていたのは年老いた紳士だった。

「あの〜、お荷物届けに参りました。コレにサインがハンコ頂けますか?」そう言って伝票を渡す。

相手はスラスラと書き渡してきた。

私は荷物を渡そうとしたが、意外と重い事に気がついた。こんな小さな箱の中に生ものが入っているのか?それにしては重い。

気にはなったが、私には関係ない事だ。

玄関に置くとことりと音がした。そして内側から何かが出てくるように色が変色していく…。茶色に…。

はじめは赤い色かと思った。

でもよくよく見てみると茶色い。

変色でもしたかのようだ。

気味が悪くなった私は慌ててその場から逃げ帰った。その場には年老いた紳士を残して。

「はぁ、はぁ、はぁ。何だったんだ?アレ。血じゃないのか?だとしたら…置かれていた荷台の匂いを嗅いでみた。少し生臭い匂いが残っていた。

何といったらいいのだろう…肉が腐ったかのような匂いだ。

関わり合いたくないと思った私は警察にも届けず自宅へと帰ってきた。

今日の事は仕事仲間にも話していない。

伝票はちゃんと持っている。だから場所はわかる。何かあったら届けようと思っていた。


その日の夜私はうなされて起きた。

なぜうなされたのか…そう、それは昼間の事があったから。汗びっしょりかいていた。

気持ちが悪いので服を着替える事に。ついでにシャワーでも浴びてくるかと浴槽へと歩いて行った。

シャワーを出すとはじめは冷たかった水が湯へと変わる。顔から浴びるとサッパリとする。ゴシゴシとタオルで体を拭きさっと服を着る。

その時部屋の中に何かの気配みたいなものを感じた。それは何なのかわからなかったが。

努めて気にしないようにした。

怖くなりそうだったからだ。

布団に入り、部屋の電気を消す。するとより一層誰かの気配を感じるようになった。

そうすると思い出してしまう。

あの箱の中身の事を…。何だったんだろう?生ものとしか書かれていなかったが、魚か何かだったのだろうか?いやしかし肉のような匂いがしていたじゃないか、拭いてもなかなか落ちなくて匂いスプレーを使ったのだ。

一瞬だけ頭に浮かんだものの事を考えたが「まさかな…。」それだけ言って黙りこんでしまった。

それもそうだ。頭に浮かんだのはまさしく【頭】だったからだ。

頭部だけが配達されたのかもしれない。でも何故?謎は深まるばかり。


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