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アップデート早く!

「おお! こりゃ便利だな! 知らねえのもすぐ頭に浮かんでくる」


「……街へ急ぐと言った主が道草食ってどうするんじゃ……」


道端に生えていた草を見ては近寄って手に取る俺にリューがやれやれとため息をついた。


「だって、しょうがないだろ? リューがその神とやらに教えられたこと以外にもあるかもだし。それに、俺自身の力を確認しとかないといかんだろ? お! これ、ポーションに使えんじゃん」


採取採取とボックスを開いて突っ込んでおく。ゲームでは、戦闘とかで得られるアイテムを取りこぼさないように常にアイテムボックスに空きを作っていたため、まだまだ入りそうだ。数ではなく、種類ってのが嬉しいところだな。


「しっかし、見事に刷り変わっちまってるな。いや、ありがたいんだがな?」


そして、更に嬉しいことに、俺のsecondjobである薬師がこちらの世界仕様へと変更されていた。

例えば、ゲームでは、これとこれをこうやって調合すればポーションが完成ってのが、こちらの世界のこれとこれをこうすれば生産可能、てな具合に。


おかげで、ポーションやハイポーション、エリクサーとかマジックポーション。果ては霊薬なんかの生産も問題なく行えそうだ。ただ、薬師はmainjobではなかったため、蘇生薬までは作れなかったが、まぁ、それでも十分だろう。

もちろん、料理人による調味料の生産も可能みたいだ。


……意外とこの組み合わせで助かったんじゃないか? 職業


「これなら、街でポーションとか売って生活できそうだな」


「……主ほどの力があれば、魔物を狩ることも可能じゃろうて。この世界にも冒険者なるものがあるそうじゃしの」


「定番のあれか? ……うん、無理。いくら俺が強いと言っても、怖いことにはかわりない。常に命かける職業なんて柄じゃねぇよ」


リューの言う通りに、ウェルディとしてのステイタスを持つ俺はこの世界では強者に入るのだろう。だが、何か起こるかもしれないという万が一を考えると、冒険者は躊躇われる。確かに、リュー達がいるのなら、この世界で最強を名乗っても良さそうだが……


「それに、俺は目標がある」


「む? そうなのかえ?」


「ああ。大事な大事な、俺が江西おきなとして目指していた目標だ」


そう、俺には譲れないものがあるのだ。

目標であると同時に、夢でもある。他人からすればちっぽけな、それもしょうもない夢かもしれないが、俺からしてみれば人生の中でも大きなものだといってもよい。


「俺は………………定職に就きたいんだ!!」


「……はぇ?」


「決まった場所に勤めて、決まった給料を決まった額だけもらう! 夢がない? 結構! んなことよりも安定した生活の方が大事だ! 夢で飯が食えるかっての!」


何か、隣で俺を見上げているリューの視線がどんどん呆れたものになっているが気にしない! 俺はとにかく定職に就きたいんだ!!


冒険者みたいに一攫千金を狙って日銭を稼ぐような生活なんて、不安しかねぇ!


「ま、そういうわけで、だ。要は安定した生活でお前らと一緒に過ごせればそれでいいんだよ。できるだけ、戦うってのは無しの方向でいきたい」


「……それが主の考えなら、妾達も異は唱えんつもりじゃ。しかし主よ。この世界、絶対に安全というわけでもない。その時はどうするつもりじゃ?」


「降りかかる火の粉は払うに決まってんだろ」


流石に面倒事に首を突っ込むとかは勘弁だが、向こうから面倒事がやって来た場合は全力で抗わせてもらう。ただやられるのを見ているだけなんざ性に合わねえしな。


「のくせして、魔物は怖い、か。よくわからん主じゃ」


「いいんだよそれで。兎に角、街に着いたらまず金を稼ぐ。知識はあるし、道中で金になるような植物でも見つけていけば、一泊できるくらいの金にはなるだろうし」


先程から集めている『メディル草』とかいう植物の葉を摘む作業を再開させる。

これは葉の部分がポーションの材料となるらしいのできっと金になるはずだ。実際、これとあと二種類ほどの植物を組み合わせて正しい処理をすればポーションが完成するらしい。


ちなみに、採取するのは葉の部分だけだ。根を残せば、また葉は生えてくるので、根ごと採取するのはマナー違反らしい。

勝手に頭にその情報が挙がったのを見るに、俺も限定的なウィキ◯ディア、通称オキペディアにでもなったか?


「つまらんことを考えるなら、進んだ方がいいと思うのじゃが?」


「オキペディアのこと? 何で解ったんだよ」


「召喚獣じゃからの。ある程度の思考は読めるんじゃよ」


「プライバシーって言葉知ってる?」


さあのぉ、と笑うリューと並んで街道を歩く。これ、他の人から見たらどう見えてんだろうか。

よくて親子、悪くて誘拐犯……やっぱ、考えるの止めとこ。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「主よ。少し待つのじゃ」


暫く歩き、そろそろ陽が傾きだした頃。

隣を歩いていたリューが足を止めてそう言った。


「どうかしたのか?」


「うむ。どうやらこの先に人がいるようじゃ。気配がある」


真っ直ぐに続く街道の先を見つめているリュー。

それにつられて、俺も道の先に目を向けるのだが、俺には真っ直ぐ続く街道しか見えない。決して、俺の視力は悪いわけではない。むしろいいほうだ。


「見えているわけではないぞ? 気配がするだけじゃ」


「距離は?」


「二キロ、といったところか。どうやら一人のようじゃな」


「すげえなおい」


気配察知のスキルなんか持っていなかったと思うのだが、それで二キロとか。スキル持ちのロウに任せたらどうなるのかすっげぇ気になる。


「どうするんじゃ?」


「んー、一人だし、盗賊ってのはないか? あ、いや、囮の可能性もあるわけか……」


別にもう一度森の道を通って避けるという手もあるのだが、もし、盗賊でも何でもない、例えば、行商人とかだった場合だと、非常にもったいない。

ましかしたら、リューの情報以上のことが分かるかもしれない。そう、例えば、雇用の話とか!


「一応、接触してみよう。けど、もし危ないと感じたら直ぐに逃げる」


「戦う選択肢はないのじゃな」


ねえよ





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「あれか?」


「じゃな。見たところ、馬車のようじゃが……」


「ああ。馬がいないな」


リューの言った通り、二キロ程進んだ場所にそれはあった。

馬は繋がれていないのだが、そこにあったのは白の立派な馬車だ。


なかなか高そうな装飾品がついているのを見るに、村人っていう可能性はないな。となると、王族、貴族、もしくはかなりの力を持つ大商人……


「リュー。この世界には貴族とかいるのか? 公爵とか子爵とかのあれ」


「おるようじゃよ。といっても、主の知っとるような体制ではないようじゃが……」


「待て。長くなるなら、それはあとにしてくれ、とりあえず、あの中に人がいるのか?」


視線の先に佇む白の馬車を指差して言うと、リューはその通りじゃ、と頷いた。

しっかし、何がどうなってあんな状態になったんだ?


「……まぁ、周りに人もいないし、盗賊の囮の可能性は消えた、と。話しかけてみるか」


もしかしたら、何か困っているのかもしれないし、俺がそれをどうにかできれば、お礼として何か得られるかもしれない。

あわよくば、貴族とかのお偉いさんだったなら薬師で雇ってもらえるかも。


高級取りの定職…………ああ、素晴らしいではないか


「グェヘヘヘヘ……」


「主よ、それは気持ち悪いのじゃ。顔が犯罪者じゃぞ」


おっと、いけない。


リューに注意を受けて顔を引き締める。第一印象は大事だ。しっかりやらないとな。


馬車の扉部分に近づき、立ち止まって深呼吸。


「すいません、こんなところでどうしたんでしゅか?」


………………………………………………噛んだぁぁ!?


バッ! とリューの方に視線を向ければ、今にも笑いだしそうなのを口を押さえて必死に堪えているリューの姿。


「しゅ、しゅって……! 主が……! しゅ……!」


「いくらなんでも笑いすぎだろ!」


ああ、恥ずかしい。穴があったら埋まりたい。


そうやって、顔が暑くなるのを感じながら、この召喚獣をどうしてやろうかと考えていた時だった。


「あら? 御者さん…………じゃないのね、貴方は?」


ガチャ、と白の扉が開く音が聞こえ、そんな言葉が耳に届いた。


柔らかな、そして上品なその言葉は聞いただけで身分の高い人だと察せられる。

小柄な体に纏う服は白を基調としており、頭には鍔の広いこれまた白の帽子。


馬車に乗っているため、必然的に見下ろす形になっている人物を見上げた。




馬車から現れたのは、一人の小柄なおばあさんだったのだ













どうも、ニシュラ和尚です。


さっそくこの小説にブッマーク、そして評価をつけてくれた読者様方には感謝感激雨霰でございます。


まだまだ未熟者ですが、どうぞ、お付き合いください。




さて、今回のサブタイトル。

実は、ニシュラは今年の夏から始まったfateのスマホゲームをしているのですが、どうやら次のステージはまだ実装されていないようなのです。

そのため、シナリオは止まっている状態に。早くやりたいでございます。


まぁ、シナリオの他にも色々と楽しめますので、不満はないんですけどね!



とまぁ、サブタイトルはそんな理由。はい、しょうもないのはわかってます。

しょうもないと言えば、この話の主人公であるおきなの夢は定職に就くこと! というものでございますが、いかがでしょうか?


まだ職にすらついていないニシュラがいうのもあれですが、やっぱ、安定は大事だと思うのです。


タイトル通り、おきなは教師やることになるのですが……まぁ、それは物語を進めていけば分かりますよね。


そして、前回言った通り、キーである人物が出せました! ちょろっとだけど!

テンプレートでいくなら、盗賊やらに襲われている馬車をその無双級の力で助けて、馬車に乗っていた女の子にお礼を……とかいう展開なのかもですが、あえて違う感じに。

なってますかね? 読者様方の意表はつけましたかね?


未だに街へ着いていないおきなですが、多分次回で街に入れるのではないかと思われます。


うぅ……学園まではまだかかりそうだぁ……

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