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俺はハヤシライス派

「とは言ったものの、はて、何から話せばいいのやら……」


むむむ、と腕を組み、困った様子で悩んでいる蒼髪全裸幼女。


「なら、取り合えず、自己紹介でもしとくか? 俺は……」


「ウェルディじゃろ? 妾も途中から契約をしたが、流石に五年も一緒にいた主のことを忘れることなぞない」


「……え? ウェルディ?」


この幼女は何を言っているのだろうか。俺の名前は江西おきなだ。けっして、ウェルディなどという西洋染みた名前ではない。純粋な日本人だ。


「いや、江西おきなっていうんだけど……」


「む、そういえば、あれは主の仮の姿じゃったか……」


何やら、ブツブツと独り言を呟く幼女。


しかし、なんだ? ウェルディってすごく聞いたことがある名前だ。

何だったかと記憶を掘り起こして思い出そうとする。が、思い出したのは、おきなという名前で『翁! 翁!』と中学校の時からかわれたことのみ。


あ、目から涙が……


「む! 主どうした! 涙が出ておるぞ!」


「あ、ああ。ちょっと色々とな」


「ええい! 主を泣かせたのは誰だ!? 妾が許さぬ!」


そう叫んだ幼女は目尻を吊り上げて手を空にかざす。

何をするつもりなのか全く分からない。あれか? クリ◯ンみたいに気円斬でも放つのだろうか。


で、だ。


なんか、水でできた槍みたいなのがそこに現れた


「……え」


「どこじゃ! 主を泣かせた奴はこの妾が許さぬぞ!」


「ちょ」


相変わらずキョロキョロと辺りを睨み付けている幼女であるが、その様子を見ている俺はというと、何が起こっているのか全く、訳が分からないよ状態で只今脳内回路がショーと寸前であります。


「……あ、うん、そうだ。これは手品、手品みたいなものだ。うん、そういうことに……」


ははは、と乾いた笑い声を上げて勝手に納得しようとしたのだが、ところがぎっちょん、そうは問屋が卸さないらしい。

幼女の後ろの少し離れた場所の草むら。そこが一瞬ガサリと揺れた。


「! そこか!」


音に気付いた幼女が振り向き様に手を振れば、今まで宙で待機していた水の槍がその場所に向けて飛んでいった。

呆気にとられる俺であったが、それだけではない。放たれた槍はそのまま速度を増して飛んでいき……


爆ぜた


いや、もうほんとに。これ以外のどんな表現で表せばいいのか迷うくらいに。

着弾とともにものすごい爆音が響いたのだ。そりゃもう、少し離れた所にいる俺の体の芯に響くくらい。

魂が震えるとかそんなんではなく物理的に。


なにそれ怖い


「……少し、甘かったか?」


「あれで!?」


幼女の呟きに思わず叫んだ。あんな威力出しといて甘いとか、あれ食らったら一撃死する自信しかない。


「なれば今度は妾の最大威力で……」


「ストーップ!! ちょっと待て! んなもんやられたら俺まで巻き添えだぞ!?」


「む、しかし主よ。主を泣かせた者には死を……」


「怖いことサラッと言うなっての! ほら、俺は別に何でもねえから! さっさと説明してくれ。さっきから全然話がすすんでねぇから」


むぅ、と不服そうな顔をする幼女だったが、俺の必死の説得の末、なんとか納得させた。

いい加減にしないと、このままずるずると話をするのが先延ばしになってしまう。下手したら、話さえするのを忘れるかもしれない。


「うむ、では主の望みに応えるとするかの。話は長くなるのじゃが、ようは主は異世界に来たのじゃ」


「短けぇよ。…………え? 今なんと?」


「主の望みに応えるとするかの」


「典型的な間違いをするな、異世界がどうたらのとこだよ」


「異世界に来たのじゃ」


「なんだってぇ!?」


「…………妾が言うのもなんじゃが、主も大概じゃな」


呆れたようにため息をつく幼女。だって、しょうがないじゃん? いきなり異世界に来ました、とか言われても、何が何やらさっぱりじゃん? なら、テンション上げて、空元気になるしかないでしょ?


「で? その異世界がどうなんだ?」


「む? あまり驚いた様子ではないの」


「まあな」


いや、むしろ現代日本であんなもんみせられてたら、そっちの方が驚いたよ? あんな物理法則まるっきり無視したことされたら……ね?


「まぁ取り乱さないだけよかったのじゃ。で、じゃ。主は寝る直前まで、何をしていたか覚えておるかの?」


「何をって、そりゃゲームを…………!?」


そこまで言って、俺は直ぐに視線を服に落とす。黒のタンクトップに、灰色のズボン。それによく見れば茶色い膝下まであるロングブーツ。首にかけてある紫の石がついたネックレスも、この頭に装着しているゴーグルも、それに幼女に貸している黒いローブも、全部。俺は知っている。


そして、先程、この幼女は俺の名を江西おきなではなく、ウェルディと呼んだ。


「気付いたかの?」


「……まさか、ゲームのキャラの姿で異世界に来た、とか言うつもりなのか?」


「そのまさかじゃ」


うむ、と頷く幼女。しかし、ますます分からない展開になってきた。

あれか、ネットとかにある小説で定番のあれなのか?

現実は小説よりも奇なり、とはよくいったものだ。本当にそんなこてになりやがった。


「……まぁいい。いや、決して良くはないが、そのゲームのキャラで異世界に来たってのは百万歩譲って認めよう」


「かなり譲ったの」


「じゃあ、そんなことを知っているお前は、一体何だ? 何者だ?」


俺が目覚める前から一緒に居たのであろうこの幼女。頭の角を見るに、人間ではないと思うのだが……いや、コスプレという可能性……もないな。うん。人間があんな危険な水の槍とか作れるわけないもん。


しかも、初っぱなから俺のことを主ときた。話し方もまるで何年も一緒にいたような口ぶり。いや、この幼女が言うには五年だったか?


だが俺は日本でこんな人間を止めちゃった幼女と五年もいた記憶なんてないし(改竄されてたら別)、仮にゲームのキャラであったとしても、こんなのはいなかったはずだ。


「む、まだ気づかぬか。……あ、いや、今はこんな姿じゃったな。よかろう。ならば、よく聞くのじゃぞ、主よ!」


両手を腰に当て、精一杯胸を張る幼女。どうでもよくないが、見えてはならないところが見えております。


が、そんな俺の心配は次の言葉とともに吹っ飛んだ。


「我が名はリュー! 主の最後の召喚獣にして、最強の僕であるのじゃ!」


「……………………………………はい?」





どうもニシュラです。


なんか、暇だったので更新しちゃいました。

あれだね、テストのない土日は更新できそうな気がしてきた。


この話も、だいたい一時間半くらいで書き上がってちゃいましたし。ニシュラにとっては結構いいペース……のつもりです。


さて、前回はあとがきがあんな感じになっていましたが、これからどうしようかなと考えている途中であります。

書いてもいいし、書かなくてもいいし。でも、この場所にこうやって書くのも何だかんだで楽しそうなんですよね。


てことで、サブタイトルについて。

ニシュラ、実はハヤシライス派なんですよね。というか、恥ずかしい話、カレーの中辛でも辛いと感じてしまうんですよ。


学食で出ていたカレーを友達が頼んでいるのを見て、少しだけ分けてもらったんです。


結果、辛くて口がヒリヒリしました。他の友達からもマジかよと驚かれました。

ちくせう、なんでハヤシライスがねぇんだよ。


ちなみに、うちの学食。時折変なメニューが出てきたりしてたんですよね。

その名も『ラーメンライス』

ニシュラは一度も食べたことはありませんでしたが、頼んだ友達が言うには、唐揚げとラーメンとご飯が一つのどんぶりに盛られているそうです。もちろんスープも一緒。


食べた友達は勇気あるなぁと思ってたんですが、次の日の学校休んでいました。

それが三人。なんだ、あれ食ったら腹壊すジンクスでもあんのか。


まぁそんな不思議メニューがでてくるうちの学食って何だったんだろうなという話でした


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