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一時、更新停止の危機に陥った

言ったそばから週一投稿できなくてすみません!



「それでは、商品を見せてもらっても宜しいでしょうか?」


イロトス商会トルネ支部の店長であるフィルヨーさんは、お互いが腰を下ろして早々、丁寧な言葉で話を切り出した。

まぁ、此方も売りに来ただけなのだ。早く終わるのならそれに越したことはない。


俺はフィルヨーさんの言葉に頷くと、持ち寄った鞄からポーションを取り出し、目の前のテーブルに並べた。


「…ふむ、では少し確認させて頂きます」


断りをいれ、ポーションの一つを手に取ったフィルヨーさんは、まずは見た目を、次いで蓋を開けて匂いを確認した。

すると、少し考えるようにしてから手元の羊皮紙に何かを書き込んでいく。


「色、匂い。共に従来のものと何ら変わりはないですね。失礼ですが、味と効果を確かめたいのですが、少し飲んでも宜しいでしょうか? 勿論、その分の代金はお支払い致しますので」


「ええ。そうでしたら別に構いませんよ」


問題ないと返すと、では、とフィルヨーさんがポーションを少しだけ煽ると、少しの間だけ口の中に含ませ、それを飲み込んだ。一連の動作はまるで美食家のように思えてくる。


…まぁ、美食家はこんなに目を剥かないと思うのだが。


ゴクリ、とポーションを飲み込んだ直後に、体を震わせながら手のひらを凝視するその様子は、まるで真の力を覚醒させた……いや、なに言ってんだろ俺。


俺の視線に気づいたのか、フィルヨーさんは一度咳払いした後に失礼しましたと落ち着きを取り戻した。


「一つ、確認させて頂きますが、このポーションはあなたが?」


「はい。私が作らせていただきました。それで、いかがでしたか?」


「…これでも私は商人ですから、今まで色々とポーションは見てきましたが……正直、これ程のものだとどう扱えばいいか悩むところですね…」


どうやら、こちらでも俺の作ったポーションは高評価であるようだ。


「効果は従来のものの約3、4倍といったところですね。かのゲーテルのポーションをこれ程容易く越えるものがあるとは驚きました」


「ま、色々と工夫してますからね」


「それにこのポーション、現在の市場で出回っているハイポーションよりも効果は高いと思われます。それを考慮しまして…」


ペンを手に取り、羊皮紙に書き込んでいくフィルヨーさん。

ブツブツと何かを呟きながらペンを走らせていく様子は流石商人というべきなのか。

ただ、懐からこっそりと様子を伺っていたシスターズが少し怯えているので気を付けてほしい。


「主よ。こやつ、大丈夫なのかえ?」


「リュー。そういうのは口に出さないの」


小声で耳打ちしてくるリューは言った通りに大人しくしてくれている。そう言えば、さっき二人でどっかに行く約束をしていたんだっけか。何処に行こうか……マイナさんにいいとこないか聞いてみるかな


「一つ、銅貨八枚ですかね」


銅貨八枚、か。なるほど、市場に出回っているポーションが銅貨五枚だったはず


「ただ、このポーションは、かなり良いものです。いや、現時点で今出回っているものを大きく凌ぎます。ですので、大銅貨一枚でいかがでしょう?」


お、一般の二倍になった。


「…何をお考えで?」


「ふふ、あなたとは是非良好な関係を築きたいと思っていますので。出来ればこれからもご贔屓にしてくれると嬉しいですね」


それに!とフィルヨーさんは話を続けた。


「あなたが言うに、これはポーション。ポーションでこれほどなら、ハイポーションはどれ程のものなのか。そういう期待もありますので」


つまりあれか。今度はハイポーションを売りに来いと。


見た目は特徴のない普通の人なのに、やはり商人と言うことか。


だがしかし、俺を嵌めたりなどするつもりはなく、ただ単に商会として繋がりを持ちたいと言うのが本音なのだろう。

俺としても、こういう商会と関係を持つのは悪いことだとは思わない。


「でしたら、これからも宜しくお願いします」


「ええ、こちらこそ。何かあればいつでも訪ねてくださいね」


結局、俺が売りに来たポーションは大銅貨十一枚に換金されることになった。

まぁ、元手がただであるため、全て利益となるので此方としては大満足である。


商会の入り口で、フィルヨーさんと初めに出迎えてくれた女の子に別れを告げて外に出る。取引が予想以上に早く済んだため、まだ陽が沈むまで時間がかかりそうだ。


「あるじー、おわったー?」


どうするかなーと考えていると、懐に潜り込んでいたララがピョコンと顔を出した。見ると、他の二人も中から此方を見上げていた。


「ああ、終わったぞ。ご苦労様だったな」


「おわったー!」


「たー!」


「あそぶー!」


キャッキャ、と嬉しそうに懐から飛び出したシスターズはそのままぐるぐると俺の頭の回りを飛び回る。


「これ、お主ら。あまりはしゃいで主に迷惑をかけるでない」


「わー!」


「リューがおこったー!」


「たー!」


そんな様子に見かねたリューが注意するのだが、シスターズはリューから逃げるようにして飛び回る。

それにむっとなったリューが飛び跳ねて捕まえようとするのだが、すばしっこいシスターズは捕まらない。

敏捷値はリューの方が高いはずなのだが、そこはあまり関係ないのだろうか。


「こら、待て! 大人しく捕まらぬか!」


「いやー!」


「こわいー!」


「おこるとしわふえるー!」


「「ふえるー!」」


「うがぁぁぁぁぁ!!!」


……あれも俺の記憶からなのだろうか


シスターズにからかわれ、リューとシスターズのやり取りがデッドヒート。どちらも小さい女の子(一方は手のひらサイズ)なため、見ているこっちからすると微笑ましいものだ。


……そろそろリューが泣きそうなので止めておくか。


強者の態度を見せるかと思えば、こうやって見た目相応の行動をするリューがいまいちよくわからん。なるほど、これがキャラがぶれているというやつか。


取り合えず、学園の仕事の間にポーション作って放課後街に売りにいけば大丈夫だろうと考えつつ、俺はリュー達の間に割って入るのだった。






「ふぅっ、何とか売れて良かったな」


「主の作ったポーションじゃ。売れぬわけがなかろう」


あの後、はしゃぐシスターズに苦労をかけさせられたが、大きな問題なく街を回ることができた。

あいつら、珍しいもんとか面白そうなもんを見つけると、すぐ俺の頭から飛んでいってしまうのだ。幸いにも、悪戯をすることがなかったからよかったが、今度は少し注意をしてやらないとな。


そんなシスターズも、午後からずっと外に出てはしゃいでいたためか、最後の方は俺の頭の上で折り重なるように眠ってしまった。頭に感じるちょっとした重みに、少しばかり顔が綻んでしまう。


「ララ、リリ、ルル。そろそろ本に戻っとけ」


「あ~い」


「わかった~」


「ねむ~」


懐から召喚本を取り出してやるとシスターズは目を擦りながら光となって本へ戻っていく。


「……あやつらのせいで疲れたのじゃ……」


「ハハハ、まぁそれはしょうがないな」


まるで小さい子どもを相手にしてるようなもんだったしな。


それじゃ帰るか、と『小鳥亭』への帰路につく。

やはり少々不気味に感じる道ではあるが、二日目となればそれなりに慣れる。

見た目古びた宿に帰ると、まず一番に目についたのが、食堂の壁に新しく追加された看板だった。


『食べるときはいただきます。食べ終わったらごちそうさま!!』


どうやら、昨日作った看板を追加したようだ。


「お、帰ってきたか」


「あ、おっさん。ただいま」


「なのじゃ」


出迎えてくれたおっさんは、何故か麦わら帽子にタンクトップ。そして首に汗ふき用であろう布を巻いていた。きっと、裏の畑で作業でもしていたのだろう。


「おう! おかえり。すまねえが、まだ飯はスープぐらいしかできてねえんだ。もうしばらく待ってくれや」


「そうか……あ」


そこでふと思い付く。そういや、今の今まで忘れていたが俺のthirdjobは料理人だった。


「おっさん、よかったら、今晩は俺が作っても良いか?」


「は? 作るのか?」


「ああ。ダメならいいんだが……」


「いや、ダメなことはねえよ。ただ、客にそんなことさせるってのもな……」


ん~、としばらく考えるおっさんだったが、結局許可はくれた。

ただ、材料はあんまり種類がないぞ? と言われたが問題はない。早速部屋で身なりを整えて手と顔をリューに出してもらった水で洗い、厨房に入る。


「何作るんだ?」


「そうだな……野菜が多いから、野菜炒めにでもするつもりだ」


おっさんは俺の様子を見るといって俺の後ろに控えている。リュー? 完成を待ってすでに席についてますが?


ちなみに、こちらの世界でもキャベツやらトマトやらの見たことある野菜は多く見受けられた。ただ、名前が違うのでそこは慣れるしかないだろう。


「さて……」


水はおっさんが井戸から汲んできたものを使う。地下水なので、冷たいし、味も悪くなかったので問題はない。

取り合えず、野菜は綺麗に洗って適度な大きさに切っていく。


jobの影響なのか、包丁捌きがとんでもないことになっている。残像見えるとかどうなのそれ?

後ろから「お……おおぉぉぉ!?」とか聞こえてくる。


ものの数秒で全ての野菜を切り終えた俺は続いて中華鍋のようなものを用意。


「おっさん、火を……」


「お、おぉうっ!? もういけるぜ!?」


どうやら気をきかせて既に用意してかれていたようだ。コンロのような便利なものがないため、ここ『小鳥亭』では薪を使って火をおこしているのだ。


おっさん曰く、もうちょいいい宿ならそういうマジックアイテムがあるとのこと。流石ファンタジー。


次に肉を一口サイズにカット。数秒で終了。何これ怖い


脂身の部分を使って鍋に油をひき、鍋が温まったところで肉を投入。肉がある程度焼けたところで野菜を投入。


流れるような動きに俺自身が驚愕だ。日本じゃ、自炊はやっていたが、ここまでのレベルではなかったはずだ。job補正すげぇ!!


テレビでしか見たことないような動きで鍋を振るう。Lv50でこれなのだ。mainにしてるやつはいったいどうなることやら……


味付けは塩だけと実にシンプルだが問題はない……はずだ。

胡椒はやはり高いらしい。


「……っと、完成だ」


「お……おおっ!? もうか!?」


時間にして十分もかかってない。job補正による時短効果もあったようで、なかなか早く仕上がった。


「おっさんも食べようぜ」


「いいのか?」


「いいっていいって。皆で食べた方が絶対うまいって!」


「そ、そうか。ならいただくぜ」


リューの待つテーブルに!大皿に盛った料理を運ぶ。

おっさんには、三人分の黒パンとすでに作っていた

スープを運んでもらった。


「それでは」




「「「いただきます!」」」



















おっさんに、たまに作ってくれと頼まれることになった。

あと、料理を教えることにも。



どうも、ニシュラ和尚です。


今回で音楽で言うところの前奏は終わりです。次回からいよいよ、学園編となります。


やっとサモナーがティーチャーするんですよ。漸く題名通りになりそうです。


なお、フィルヨーさんとのやり取りについてはノーコメントで。納得いかないとか言うかたもあるかもしれませんが、あれがニシュラの限界でございます。



さて、今回のサブタイ。


実は、スマホを取り上げられました。

ニシュラはスマホで投稿しているため、これは実に困ったことになったなと思いました。


いや、受験生なのにやってるニシュラが悪いんだとは思いますが。

おかげさまで怒られるわ怒られるわ。

うちのお母様の怒りが頂点を限界突破しちゃいまして、ボロクソにいわれましたね。


で、どうやって投稿してるかって?


お母様の使わなくなったスマホをこっそりと拝借。Wi-Fi環境下なら使えるので、家で投稿ページに繋いで外で書いてるんですよ。

やだてね! 裏技成功!


……これ、バレたら命の危険しか感じねえわ


そんなわけで、また次回!

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