ただ今秋のアニメの選定中
少し更新遅れてすみません
それと、知ってるか? まだ一日経ってねぇんだぜ?
「それでは二人とも、準備はよろしいですか?」
時は変わって放課後。当事者である俺たちの他、数名ばかりが学園長専用の調合室へと集まっていた。
他の調合室がどんな風にできているのかは知らないが、流石、学園長専用ということもあってかなりの広さがある。どうやら、この階のフロアまるまる使っているようだ。
「もちろんです。直ぐにでも始められますよ。デュフフフ」
で、俺と並んで立つこの男がガル……ガル……ガルガル? まあ、いいか。あの金髪野郎が連れてきた後任を任せようという男だ。
俺がここへ来たときには既に到着してマイナさんに挨拶をしており、入室してきた俺にも自己紹介していた。
確か、名をベロー・ケ・ミミック。マイナさんに聞いたところ、金髪野郎の家とは縁のある新興貴族の家系の三男だとか。
そういや、貴族の三男とかは家継げないもんなぁーとか思いつつ、こちらも自己紹介。
尚、見た目に関しては少し小太りなお人である。
「正直に豚じゃと言えばよかろう」
「リュー。そういうことは言葉に出したらダメだぞ。ちゃんと心の中で嘲笑わないと」
「……主のそれもどうかと思うがのぉ」
小声でのやり取りに、リューが深くため息をついた。
いや、少なくとも面と向かって言うよりはいいと思うよ? 俺的に
「ウェルディさんの方はどうですか?」
「あ、はい。問題ありません」
問いに返してマイナさんの方を見れば少しだけ、俺に分かるように微笑んだ。だが、分かる。俺には分かる。
あの笑顔が『勝て』の意味だとすごくわかる。
ゾクリと背筋が震えたような気がしたが、表情には出さない。まぁでも、この二時間で確認した通りの手順でやれば問題はないだろう。
「それでは、御二人は個室へ入ってください。できた方から私たちの元へ持ってきてくださいね」
「はい」
「了解です」
調合室内に備え付けられたいくつかの小さめの部屋。元々、この学園長専用調合室は、マイナさん他、幾人かの人達が使用するための場所らしい。
そのため、それぞれが機密保持のためにこうやって小さめの部屋があるのだと。今回はここを使用することになっている。
「頑張るのじゃぞ」
「はいはい。分かってますって」
使用する素材は、事前にマイナさんに貸し出してもらった鞄に詰め込んでいる。調合に必要な道具は一通り個室に用意されているそうだ。足りなかった場合、申し出れば持ってきてもらえるそうだ。
個室へと入る直前でリューに応援の言葉を受けそのまま個室へと入る。チラリと見えた金髪野郎の顔がまるで勝利を確信しているようにニヤニヤしていたが、まあ負けるつもりは毛頭ない。
この勝負のルールはそれぞれが持ち寄った素材を使って自身が製作できる最高のものを出し、その効果を競うというもの。
俺が作れる最高のものは万能薬なのだが、ハイポーションまでしかないこの世界でいきなりそんなもんを作るわけにはいかない。てか、やったらやったであとが怖い。
そのため、俺が作るのはハイポーション。相手のベローとかいう奴もハイポーションだろうから、競うには適切だろう。
「さて、作るかな」
個室は中央に少し大きめの台が置かれ、その周りを道具を入れた棚が囲っている作りになっていた。あれか、これが主婦の夢(想像)、アイランドなんとかか。
まずは部屋に置いてあった擂り鉢と擂り粉木を取りだし、鞄に入っていた素材を台に並べていく。台にはご丁寧に水道(魔力を流せば、その分水が流れるタイプのもの)が取り付けられていた。流石異世界ファンタジー。何でもありだな。
魔力の流し方とかはリューに教わっているため問題なく行える。早速、素材を水で洗って細かい汚れなどを落としておく。
俺が洗っている素材は、『メディル草の葉』、『アルマチ草の根』、『ケルフィア草の葉』の三つだ。
一応紹介しておくが、メディル草はポーション製作の最も主となる薬草だ。一株に十枚ほど葉をつける薬草でその葉には治癒の成分が含まれている。そのまま服用するのもありだ。あと、採取の際に根を残すのがマナー。また生えてくるそうだ。
次にアルマチ草。これは根っこの部分のみをしようする。特に治癒の成分が含まれているというわけではないのだが、これの根はメディル草の効果を高めてくれる。尚、葉の部分は毒があるため、グローブ必須。毒は麻痺毒として使用可能だとか。
で、次がケルフィア草。これもアルマチ草の根と同じくメディル草の効果を高める薬草だ。ただ、これの根は解毒薬としてもつかえるとか。
「こんくらいだな……」
道具のなかに魔力で点火するものがあったので、それを使って熱湯を作り、メディル草の葉とアルマチ草の根を投入。水の温度が90℃を超えないように注意し、ギリギリのところでそれらを取り出す。
「で、これを擂り潰してっと……」
続いて出したのは『コフィンの実』
拳ほどの大きさをした、見た目は毒々しい紫。酸味が強く、あまり甘くないがちゃんと食べられる。信じがたいが
コフィンと呼ばれる木になる実で、滋養効果があり、治癒の成分の効果を促進させるのだとか。
「で、これを3:2:6:2の割合でっと……」
熱処理したメディル草の葉とアルマチ草の根、そしてケルフィア草の葉と擂り潰したコフィンの実を言葉にした分量で擂り鉢に投入、これを混ぜて擂り潰していく。
「しっかし、ほんとすげぇよな……」
思わずため息と共に言葉が出た。
これも、secondjob薬師の力なのか、計らずとも、自分の勘で最適な温度やら分量が手に取るように分かる。いや、多分そうなんだろう。でなければ、他に説明がつかない。
まあ素材は分かるし計らなくていいし、便利なので文句はないが。
この世界の一般的な手法では、ハイポーションはポーションに使う原液を濃くしたものというアレンジもなにもないものだ。ちなみにポーションにはコフィンの実を使わないらしい。
一応、色んな薬師の方々が各々研究を行い、日々その効果を高めることに心身を注いでいるとか。
……うん、ごめん。ここに完成形があるわ
軽く合掌して作業を続ける。
よく擂り潰せば、爽やかな匂いを放つ少しドロッとしたものが出来上がる。
あとはこれを水に2:1で混ぜれば完成なのだが……
「オキナ製はここにもひとつアレンジっと……」
鞄に丁寧に入れられたそれは大きめのガラス瓶(これも借り物。壊すとヤバイ)。中には透き通った液体が入っている。
これはリューが魔法によって作り出した水だ。つまり、リューが出した水なのだ!
……なんか、いかがわしく聞こえるな……
まあそれはさておき、これを普通の水の代わりに使うことで、より効果の高いものが出来上がるのだ。
早速これに混ぜて擂り潰した素材を溶かしていく。
よく溶かし、そして固形物がなくなったその液の色は緑。事前に作ったものと同じものだ。
「うっし、ハイポーション完成!」
ちなみにこれ、ゲームで使っていたハイポーションと同じ色となっている。ポーションだと黄色、万能薬は青とそれぞれで色が決まっているのだ。
果たしてこれは仕様なのかどうかは分からないが、まあ今はいいだろう。
人数分の試験管を取りだし、そこにハイポーションを注ぎ終わると、ある程度の片付けを行って部屋を出る。
今さらだが、こうやって個室に分けたのは、ポーションの配合とか製作の技術は秘匿されるべきものなのだとか。
「あら、ウェルディさん。そちらも終了ですか?」
「ええ。無事に終わりました。あたらさんはもう?」
「ええ。少し前に」
チラリと部屋の隅を見れば、すでに作り終えたベローが待機していた。そのとなりには勝ち誇ったような表情を浮かべる金髪野郎。
「まさか、あれほどのものを……」
「あのゲーテル製のものに勝るとも劣らずの……」
「これはミミック殿の勝ちで決まり……」
何やら他の教師陣たちはあのベローという男を褒め称えていた。
それほどまでによかったのだろうか? あと、ゲーテルってなんや
「まあ皆さん。判定はウェルディさんのものを確かめてからにいたしましょう」
「といわれましてもな。あれ以上のものが出てくるとは思えませぬが……」
「ええ。よくても引き分け、といったところでしょう」
言外に判定する必要なしと言われているようで少しムッ、としてしまう。
「まぁ、皆さん。どうか見てやってくださいな」
だが我慢だ。こんなとこで反論してもなんの意味もない。
一人一人の前に試験管に入れたハイポーションを置いていく。
ある人はそれを繁々と見つめ、ある人は匂いを嗅いでいる。
そして、全員がお互いの顔を見て頷くと、それを一口口に含み、喉が動いた。
その瞬間
「「「「なんじゃこりゃぁぁぁ!?!?」」」」
全員が全く同じ言葉を叫んだのだった
どうも、ニシュラ和尚です。
いや、本格的に寒くなってきましたな。夜はもう窓閉めて長袖着ないと翌朝は鼻がヤバイ。
あ、あと、アーチャーのモニュメントが手にはいったよ!やったね!
前はテストで更新が遅れましたが、こうして投稿できてよかったですよほんとに。なんか、終わりかたがちょいとビミョーな気もするけど気にしないでね!
さて、今回のサブタイトル
ニシュラも受験生でして、アニメは見るものを選んでいます。
そりゃもうじっくりとプロのごとく見定めてね!
今期は色々と魅力的なのもありますが、最有力候補でワンパンマンと庶民サンプルかな。
あと、おそまつとかイチゴ味とか、いっぱいみたいけど、泣く泣く我慢です。頑張れ俺! 来年こそは!
それと、前書きにも書いてますが
オキナの物語、まだ一日たってないんですよねビックリだぜ!
そんなわけで、また次回も楽しみにしてくれると幸いです!