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円卓会議 5

「けど、ガードか……。その辺のシステム的な事を、セレナとザビエールに話しておく必要があるな」

「私ハ、他ノゲームナラ、幾ツカヤッタ事ガ有リマスノデ、ナントナク理解シテマス。大丈夫デスネ」

「そうか。じゃあ、問題はセレナだな。セレナを起こそう」


 錆助とザビエールの会話を聞いて、部屋の角で動物達にくるまれて眠っているセレナに葵が近づく。


「セレナちゃん、起きて。大事な話があるの」


 そう言いながら葵がそっと肩を揺すると、セレナは薄く目を開く。


「ん……ママ? ママ!」


 寝ぼけたセレナが葵に抱きつく。


「ねえママ! とても怖い夢を見たの! …………あれ? 葵ちゃん? ここは……そんな……夢じゃなかったなんて……」


 セレナの瞳に涙が滲んで来るのを見て、今度は葵の方からセレナに抱きつく。


「大丈夫! 大丈夫よ、セレナちゃん。確かに酷い話だけど、それでも私達には仲間がいるわ。私達はずっと貴女の味方だから、だから大丈夫。ね? そんなに怖がらないで。私達はもう、ずっと一緒よ? 貴女が悲しい時は、私が慰めてあげる。私が悲しい時には、貴女が私を励ましてちょうだい。お願いよ? ね?」


 そう言って穏やかな微笑を浮かべる葵の顔は、後光エフェクトが発生しているのかと錯覚するほどに眩しく見えた。錆助は想う。


『セレナが調教されている……だと? 葵さんはただのお姉さんキャラだと思っていたけど、こんな顔を隠し持っていたなんて。大体なんだ、あの神々しいまでの、慈愛に満ち溢れたご尊顔は。あの艶々の長い黒髪に、潤んだような黒い瞳であんな顔をされたら、思わず〔母さま〕と呼びたくなってしまうじゃないか!』


「かあ……さま?」


『呼んだ!呼んじゃったよセレナ!母さま呼ばわりしちゃったよ!どうなるの?ねえ、これどうなっちゃうの!?』


 混乱する錆助に、何故か得意げな顔のクレアが近寄ってきて、耳元でこう囁いた。


「どう? うちの元ギルマスは? あれこそが、彼女が持って生まれたパッシブスキル。ゲームシステムなんかお構いなしに発動してしまう〔インディヴィジュアルスキル〕。その名も〔完全なる母性〕よ。あれのお陰で私達はずっと3人だった。彼女を慕う人は多かったけれど、彼女を理解出来る人は本当に少なかったのよ。貴方はどうなのかしら? フフッ。まあ、貴方が彼女を慕うようには見えないし、理解はとても早そうよね。なんたって貴方のお仲間には、インディヴィジュアルスキル、〔不健全な父性〕の持ち主も居るみたいだしね?」

『玉男の馬鹿野郎ぉー!同じインディヴィジュアルスキルでも、まさに頂点と底辺!比べるのも馬鹿らしくなってくるほどにかけ離れた属性!仲間として素直に恥ずかしい!!』

「な、何の事を言ってるのかなクレアさん?玉男はちょっとエキセントリックな所があるだけで、そんな犯罪者みたいなスキル持ちでは無いはずで……」

「私達、もう仲間よね?」


 そう言って、輝く笑みを向けてくるクレアに、錆助は降参を余儀なくされた。


「悪い奴ではないんです……恐らくは……多分…………」

「信じるわ。仲間だもの……出来ると……思う…………」




 そんな仲間達の前で、復活を果たしたセレナが照れ隠しに喚き立てる。


「あ、あたしとしたことが、お、お姉さんとしたことが取り乱しちゃったわね!でも大丈夫!あなた達が悲しい時は、あたしが励ましてあげるわ!だから悲しくなったら、ちゃんとあたしに言うのよ!わかった?」


 葵の胸に抱かれたままで言っても、説得力ゼロである。

 そんな光景を見て、錆助が自分の役割を思い出し、話し始めた。


「ゲームシステムについて、セレナに話をしておこうと思う。まずはガードについて。街中などのガード圏内では、瞬時にガードを呼ぶことが出来る。実際に呼んでみるから、しばらくの間突っ込み禁止で。間違っても灰色ネームにならないようにね。セレナも一応葵さんから離れてくれ」


 名残惜しそうにしつつも、セレナが葵から身を離す。


「ガード!」


 雷光の様な転移エフェクトと共に、中世ヨーロッパ風の甲冑を身に纏った〔ジョージ〕という男が現れた。ジョージは、ぼうっとした表情で辺りを見回している。


「こんな感じでガードが現れる。これは言葉にしなくても、心の中で念じるだけでも同じ効果がある。やってみると……」


『ガード!』


 雷光の様な転移エフェクトと共に、中世ヨーロッパ風の甲冑を身に纏った〔ランディ〕という男が現れた。ランディは、ぼうっとした表情で辺りを見回している。


「こんな感じ。仮に麻痺させられたとしても、ガードは呼べるようになってる。ガードを呼びさえすれば、その瞬間から自分に向けられた攻撃のダメージは、ガードが盾になって引き受けてくれる。だから、ガードコールが間に合えば死ぬ事は無い。ただし、不意の一撃死ではガードを呼びようが無いから、〈生産職だから生命力スキルは0でいいや〉なんて考え方は、今回は出来ないね。生産でも生命力スキルは徐々に上がっていくから、生命力スキルはなるべく上げて、HPが多くなるようにして欲しい」

「「「もちろん!」」」


 三人娘が元気よく答える。

 錆助がガードに向かって、もういいという風に手を上げると、一瞬でガードの姿は掻き消えた。


「こんな風に、呼び出したプレイヤーが、もういいと念じるか、一定時間何事も起こらなければガードは居なくなる。屋内の場合は今みたいに消えてしまうけど、屋外の場合は衛兵詰め所まで歩いてパトロールしながら戻って行く。だから圏内での突っ込みは本当に気をつけて欲しい。ガードは不死身では無いけど、スキルがカンストしたプレイヤーでも瞬殺されるほど桁外れに強いからね。うっかりガードの前で犯罪者フラグを立てないように。街中と西の施設群はガード圏内。門から一歩でも外に出れば圏外。ただし門番のガードの視線が通る位置では、そのガードを呼ぶことが出来るし、犯罪が起これば向こうから駆けつけてくれる。だから町の東側にある綿花畑は、準ガード圏内と言ったところだね」

「ええ、だから裁縫師を目指すプレイヤーには、安心して始められる職業だってことを伝える必要があるわね。草原の事件の話と併せて、この事も広められないかしら?」

「いいね。さすがクレアさん。是非そうしよう」

「後は冒険者ギルドに、羊毛と羊皮の素材調達依頼を出しましょう」

「うんうん。需要と供給の連鎖が始まれば、町が活気付くのは間違いない」

「そんなところね。話の腰を折ってごめんなさい。錆助君」

「いえいえ。貴重なご意見をありがとう、クレアさん。次は疲労度の話をしよう。前作ではHPヒットポイントSTスタミナMPマジックポイントが回復すれば、疲労なんてまったく感じなかったのに、今作では疲労が蓄積されている気がする。1日が24時間になった事で、ちゃんと睡眠を取らないと、蓄積された疲労は回復しなくなったんじゃないかと思うんだ。前作のように、夜通し狩りを続けるのはかなり厳しいんじゃないだろうか。けど、本気でPKをするつもりのプレイヤーが居た場合、人より少しでも早く成長して、絶対に有利な状況を作り出して襲ってくるはずだ。俺達が話し合いをしているこの時間も、スキル上げに専念している可能性がある。もっとも、夜のフィールドはモンスターも手強くなり危険だ。デスゲーム初日から夜の狩りを始めるプレイヤーなんて居ないと思いたい。思いたいけど、万が一、疲労度も無視して夜通し狩りを続けたPK集団が居た場合、明日の朝に開いているであろうスキル差は危険なレベルに達しているはずだ。だからと言って、町に引き篭もっているわけにはいかないから、とにかく警戒を怠らないようにしていこう。まあ、疲労度のお陰で、いつか睡眠は取らなくちゃいけないはずなんだ。1日に狩が出来る合計時間はそう変わらないはずだ。毎朝スキル差に怯える必要が無いように、明日からは俺達も狩の時間を出来るだけ長く取ろう。少し回りくどくなっちゃったけど、セレナ、ちゃんと聞いてる?」

「失敬ね!ちゃんと聞いてるわよ!」

「それならオッケイ。話を進めよう。前作と同じ仕様なら、宿の個室は鍵を掛けていれば進入不可能だ。鍵開けスキルがカンストした盗賊シーフでも、この鍵は開けられない。これは、購入した家の鍵にも言える事だね。とにかく、鍵の掛け忘れだけは無いように注意して欲しい。次は基本的な部分。仮想コンソールの使い方だけど、ブレインマシンインターフェイスに慣れていれば何の問題も無く使えるはずだ。思考一つで、メインメニューやステータス、アイテム一覧などのウインドウを呼び出すことが出来る。通常の視界に他人の名前やHPバーが見えるようにも出来るし、パーティメンバーやペットのHP一覧をまとめて表示しておくようにも出来る。リアル志向のプレイヤーなら、それらのゲーム的な情報が一切見えないようにも出来る。その辺は個人のカスタマイズ次第だ。セレナ、ちゃんと使えてる?」

「失敬ね!ちゃんと使えてるわよ!」

「それならオッケイ。じゃあみんな、スキルウインドウを呼び出してみて欲しい。もう気付いてると思うけど、合計スキル値の上限が750になってるんだ。前作の850から100も減ってる」


 気付いていた者といなかった者、半々といった反応だった。気付いていなかった玉男が慌てる。


「ヴァンパイアに必要なスキルは、闇の深度、崩壊魔法、暗黒魔法、召喚魔法、牙の五つ、生命力、知力、魔力を合わせると八つの計800。足らんではないか!」


 ミナモはしれっと言う。


「ヒーラーに必要なスキルは、光の練度、回復魔法、魔法補助具の三つ、生命力、知力、魔力、破壊魔法と合わせて七つ。計700っ!余裕ねっ!」


 光の練度と闇の深度は、光と闇の魔法で相対するスキルである。戦士ならば戦闘技量スキルにあたる。魔法の威力や攻撃力に直接影響し、便利技なども使えるようになるお得スキルである。風音もミナモに続く。


「斧使いに必要なんは、戦闘技量、斧の二つ、生命力、持久力、筋力、盾、治療と合わせて七つ。余裕やな!」


 クレアも続く。


「裁縫師に必要なのは、職人魂、裁縫の二つ、生命力で三つ、後はそれなりの持久力、筋力、治療。転移魔法があるなら神秘魔法。知力と魔力を少々。露天を開くなら取引スキルも必要ね。必要スキルは多いけれど、いくらでもやりくり出来るわ」


 職人魂は生産物の品質に影響し、高品質品を生み出す為には必須のスキルである。次はセレナが聞き、錆助が答える。


「調教師に必要なスキルは何?」

「調教、獣医の二つだね。生命力、知力、魔力、回復魔法、探知で七つ、魔法弓と持久力はそれなりでいいかな。まあ、750でもなんとかなるよ」

「そう? よかった!」


 皆平気そうなのを見て玉男が呻く。


「ぐぬぬぬぬぅ。足らん!足らんぞ!」

「知力を削ればいいじゃないか。なんとでもなるだろう?」


 錆助が言うが、玉男は納得しなかった。


「インテリジェンスの低いヴァンパイアなど、あってはならんのだ!生命力と魔力の高さはヴァンパイアの証!削れん!どこも削れんぞ!」


 面倒になった錆助は話を進める。


「玉男のこだわりは放っておこう」

「ぐぬぬぬぬぅ」

「各スキル値の上限は70。前作では、潜在能力開放、覚醒、限界突破の試練を乗り越える事で、80、90、100と上限が上がっていった。恐らく、今作でも同じような仕組みになっているんだろう。合計スキル値の上限が減った事で、1人で出来る事は減り、パーティ内での役割分担が明確になる。パーティ人数が増えた事でバランスを取ったのかもしれない」

「なるほどなぁ。最初から分かってたみてぇだったのはそのせいか」

「ああ、ケンジ。合計スキル値の上限が減った理由を考えて、パーティ人数が増えてる可能性を思いついた。試してみたら正解だったんだ。魔法戦士をためらったのもこの事があったからだ。前作では、序盤は治療と回復魔法の両方を覚えるのが一般的だった。少ない回復量でもなるべく死なないようにする為には当然の選択だ。序盤は多くのプレイヤーが魔法戦士から始めるんだ。けど、最初からパーティーを組んでいて、優秀なヒーラーがいる場合にはその必要は無い。各々自分の上げるべきスキルに集中したほうが効率がいいんだ。パーティ志向の強まった今作で、パーティ内の役割分担も出来ている。それなのに自分だけ回り道する事に、どうしても後ろめたさを感じてしまうんだ。けど、俺はあの時、自分の体が思うように動かなかった事が怖かった。魔法使いだって、魔力と光の熟度、もしくは闇の深度が上がっていけば、体は動くようになる。それはわかってるけど、今自分に出来る事があって、それをしないでもし、」

「錆助!! いいって言ってんだろうが……おめぇはおめぇの好きにやれ。死なない限り文句は無ぇ。この話は以上だ!」

「ああ、わかった……ありがとう、ケンジ」

「ちっ! よせ、気持ち悪ぃ」

「きらーんっ☆ お布団敷く?」

「「黙れミナモー!」」







「ということで、ギルドを作ろう」

「どういうことやねん!」

「ケンジがギルドマスターになってみんなを引っ張り、俺がサポート役にに回るのが理想形だな」

「まぁだそんな事言ってやがるのか、錆助ぇ。ギルマスはおめぇだ。もう決まってんだよ。いい加減諦めやがれ」

「そうよっ!錆助っ、いい加減にしなさいっ!」

「ガハハハハハッ!もう観念せんか!錆助!」

「いい加減見苦しいで!さびやん!」

「まだ決まって無いだろう!そうだ!クレアさんはどう思う?」

「どうして議論の余地もなく錆助君がギルマスなのか、なんでこんなにしょぼくれた錆助君がこんなにも信頼を集めているのか、最初は全然わからなかったけれど、ここまで話を聞いてしまえば、それが本当に当たり前の事だったんだって思えるわ。錆助君、もう観念なさい」


『しょぼくれたって言われたー!泣きたい!けどクレアさんの輝く笑顔を向けられると、頷いてしまいそうで怖い!健康的な小麦色の肌と対照的に浮かび上がる、まっ白に輝く綺麗な歯!切れ長の目が細められて、美しい焦げ茶色の瞳が輝きを増している!眩しい!もう観念します!いやいや、俺はまだ諦めない。諦めないぞー!』


「ザ、ザビエールはどう思う?」

「主ノ思シ召スママニ」


『聞いた俺が馬鹿だったー!』


「咲夜さんはどう?」

「私もどうしてしょぼくれた錆助君がギルマスなのか、初めはわからなかった。けど、錆助君の代わりは誰にも出来ないわ。これから〔Royal Knight〕と交渉したりするんでしょう? あなたがギルマスとして話をしないと何も始まらないわ」


『またしょぼくれたって言われた!死にたい!そして予想外に理詰めでこられて反論できない!しかし!ピクピク動く真っ白の猫耳。可愛いなぁ。もうなんだかどうでもよくなってくるなぁ。ゆるっふわの真っ白い髪の毛は、触るとどんな感触なんだろう。あー、触ってみたいなぁ。い、いかん!思わず現実逃避してしまった!』


「セレナは?」

「犯人はあなたよ!」


 左手を腰に当てて右手でビシッ!と錆助を指差し、なにやら分からない事をのたまい始める。


「あなたは喋りすぎたのよ!犯人しか知らないような事をペラペラと!語るに落ちるとはこの事ね!もうあなたが犯人で決定よ!」


『あ、頭が痛い……』


「あ、葵さんは……」


 葵は錆助の前まで来ると、錆助の頭を撫でた。錆助は一瞬で己の敗北を悟る。


『あ、終わった……』


「錆助君。私も初めはあなたがしょぼくれて見えていたけれど、今は違うわ。今のあなたは誰よりも頼もしく見える。こんな事になってみんな怖いのよ。私も怖い。もちろん、あなただって怖いのよね。けど勇気を振り絞って私達を導いて頂戴。あなたならそれが出来る。いいえ。あなたにしか出来ない事なのよ。お願いよ。ね?」


 潤んだような黒い瞳が眼前に迫り、錆助は落ちた。


「はい、母さま。この命に代えて……」

「ありがとう。錆助君」


 そう言って向けられた笑顔は、錆助の目には慈愛という言葉を具現したかのように映った。


『ああ、でも…… どうせなら抱きしめて欲しかった……』







 こうしてギルマスに就任した錆助は、さっそく最初の仕事を始める。


「じゃあ、ギルドの名前を決めよう。誰か、いい案は無いかな?」

「ギルマスがさびやんやしなあ。〔詫び・錆〕とかでいいんちゃう?」

「詫び担当を連れて来いやー!」

「いやいや。詫び担当も錆担当も、さびやんちゃうの? ほんまにさびやんの土下座好きには頭が下がる思いやわー。〔Royal Knight〕との交渉も、土下座外交で一発やろ」

「くっ!風音!貴様ぁ!」


 あながち間違ってはいないので、否定も出来ない錆助だ。


「他には無いのかー!」

「じゃあ!動物がいっぱい集まるように、〔錆ゴロウ王国〕でどう?」

「却下!セレナ以外で誰か居ない?」

「非道い!」

「私ハ、ウオリャア教デ決マリダト、思ッテマシタネ」

「てめぇは黙ってろぉ!」

「主ハ怒ッテバカリデスネ。マサニ荒ブル神デスネ」

「てめぇのせいだ馬鹿野郎ぉ!」


 ザビケンの絡みに舌なめずりをしながらミナモが言う。


「〔行き過ぎた友情を支援する会〕でいいんじゃないかしらっ?」

「いいわけあるかー! 1人でやってろ!この変態娘!」

「来たれちみっ娘!〔ヴァンパイアによる幼女保護会〕で決まりじゃな!」

「ギルドネームに犯罪者フラグ立てんな!このっ馬鹿玉男!」

「じゃ、じゃあ、〔聖母と邪父の拮抗したバランスで成り立つ会〕とか、どうかしら?」


『クレアさんも万能では無かったー!』


「う、うーん。他には!」

「ありきたりだけど〔チェリーブロッサム〕とか……」


『咲夜さん可愛い!そんなあなたの肌こそ、まさにチェリーブロッサム!』


「いいね!じゃあ、葵さんは何かある?」

「そうねぇ。〔こんな世の中だけど、力を合わせて生きていく〕って感じでどうかしら?」


『な、なんかお母さん! あれ?キャラはあくまでもお姉さんキャラだったはずなのに!』


「うーん」

「駄目ね。私こういうの苦手なのよ。錆助君は何か無いの?」

「お、俺? えーと……〔血塗られた歴史と使命に惑う貧しき戦友〕とかかな?」

「「「「「「「「「厨二か!」」」」」」」」」




「罰や!〔詫び・錆〕で決定や!」

「待て!早まるな風音!これからお前達もそのギルドネームを名乗るんだぞ?嫌だろう?」

「うちは別にかまへんよ」

「私もギルドネームなんてどうでもいいわっ!」

「俺もどうでもいいなぁ。もう面倒くせぇからそれで決めちまえ!」

「我輩もそれで良いぞ!」

「「「私も賛成!」」」

「主ノ御心ノママニ」

「〔錆ゴロウ王国〕が駄目なら、なんだっていいわ!」

「お、お前ら本当にそれでいいのかぁー!」


 こうして目出度く、ギルド〔詫び・錆〕が誕生した。錆助は早速町役場へ行きギルド申請をして、戻って来るとすぐに全員をギルドメンバーに迎え入れた。こっそりケンジと葵をサブマスターに設定して、その場はバレずに切り抜ける事が出来たようだった。円卓会議もこれでようやくお開きとなり、ギルメン達はそれぞれの部屋へと帰っていくのだった。

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