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世界樹の守護者、アル~追放から始まるほのぼの英雄譚~  作者: タツダノキイチ
第三章

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謁見とお茶会02

突然仕掛けられたとんでもないイタズラに動揺しながら、

「えっと、あの……」

と狼狽える僕に、王が、

「アルフレッド君にはいろいろ聞きたいことがあるからね。こうしてお茶の席を用意させてもらったよ。なに、公式の場ではなくあくまでもロロアの両親として娘の様子を聞きたいと思っているだけだから、そんなにかしこまらないでくれ」

と気さくに声を掛けてくる。

それに続いて、シャルロッテ様も、

「ええ。そうよ。あの子のこと、クルニ村のこと、たくさん教えてね」

と言い、

「さぁ、こちらにどうぞ。美味しいお菓子もたくさん用意しましたからね」

と言って僕に席に着くよう促してきた。

僕とシャルロッテ様が席に着くと、そこに年嵩のメイドさんと執事さんがやってきてお茶を淹れてくれる。

僕の目の前には綺麗に飾られた美味しそうなお菓子がたっぷりと用意されており、

(うわ……。こんな豪華なお茶菓子みたことないや……)

と、やや圧倒されてしまった。

「うふふ。この桃のケーキがとっても美味しいのよ。どうぞ召し上がって」

とシャルロッテ様に言われメイドさんが取り分けてくれたケーキを遠慮がちにいただく。

まるでとれたての桃にそのままかじりついているような瑞々しさに感動しながら、

(なんだか、ミュウさんのケーキに味が似てるな……)

と思っているとシャルロッテ様が、

「どう? ミュウのケーキとどっちが美味しい?」

とまるで僕の心を読んだかのような質問をしてきた。

「あ。はい。えっと、ミュウさんのケーキと似た味がするなって思いました。なんだか懐かしい感じです」

と素直に答えると、シャルロッテ様はケーキを取り分けてくれたメイドさんに向かって、

「うふふ。よかったわね。あなたの味はちゃんと受け継がれているみたいよ」

と言いにっこりとした笑顔を向ける。

その笑顔にメイドさんは少し苦笑いしながら、

「はい。あの子も元気でやっているようでなによりです」

と答えた。

「えっと……」

と大体のことを察しながらも一応確認の意味を込めてシャルロッテ様に視線を送ると、

「ええ。ミュウの母のメイベルと父のアーノルドよ」

と言ってメイドさんと執事さんを紹介してくれる。

僕は慌てて立ち上がり、

「ミュウさんにはいつもお世話になっております」

と頭を下げた。

「いいえ。あの子は元気ですか?」

「はい。いつも剣術を教えてくれたり、美味しい料理をたくさんつくってもらってます。ありがとうございます」

「いいえ。これからもあの子と仲良くしてあげてくださいね」

「はい」

と挨拶を交わして再び着席する。

そんな僕を見てシャルロッテ様はにこやかに笑い、

「さぁ、クルニ村のこと、ロロアのこと、たくさんお話聞かせてね」

と僕に話を向けてきた。

その後、

「あら。あの子ったら……。相変わらず自堕落な生活を送っているのね」

「もう少し、家事の勉強もさせておくべきだったかな?」

「ええ。でも楽しそうでよかったわ」

「そうだね。ロロアは昔から植物が大好きだったから、きっと今の生活は彼女にとってとっても幸せなんだろうね」

と話す王とシャルロッテ様にクルニ村のこと、ロロアさんやミュウさんのことをたくさん話して聞かせる。

そうしているうちに僕の緊張も少し和み、お茶会は楽しく進んでいった。

「さて。アルフレッド君。そろそろ本題に入ろうか」

という王の言葉でその場の雰囲気が少し変わる。

僕は緊張しながら、

「はい」

と応えて王に視線を送ったが、王は、またにこやかに笑い、

「そう緊張しなくてもいいよ。世界樹のことを少し聞きたいだけだからね」

と言ってきた。

「まず、世界樹は元気かい?」

「はい。デイジー、ああ、ペットのオコジョが大丈夫だと言っているので元気なんだと思います」

「そうかい。それはよかった。アルフレッド君はもう世界樹の力を?」

「はい。ずいぶん前に契約しました」

「なるほど、それもあって特殊個体にも対応できたんだね」

「はい」

「そうかい。ではクルニ村の森に異常はないかな?」

「はい。今のところ大丈夫だと聞いています。ただ、時々大物が出るみたいなので、相変わらずユリウスさんやフェンリルのマシロさんは忙しそうにしていましたが……」

「そうなんだね。あの森の異常は世界の安定に関わるんだ。だから、しっかり守って欲しいと伝えておいてくれ」

「わかりました」

と話したところで、王がひと口お茶をすする。

そして、王は再び口を開くと、

「アルフレッド君。君は勇者とはなんだと思っているのかな?」

と少し哲学的な質問をしてきた。

僕は、

「……そうですね」

と少し考えた後、

「正直まだよくわかっていません。ただ、なぜか僕が選ばれてしまったというのは事実です。だから僕はまずその事実と向き合い、自分を磨いていこうと思っています。きっとその先に答えがあると思いますし、その答えがみんなの笑顔を守ることにつながるんだと思いますので」

と正直に自分の思っていることを伝える。

すると、王は満足したような表情でうなずき、

「うん。君はまだ若い。これからいろんなことを経験するだろうけど、きっとその先に自分なりの答えがあるはずだよ。だから、アルフレッド君。君には君の信じた道をまっすぐ進んで自分なりの正義を貫いてほしいんだ。そして、世界中の笑顔を守る勇者になって欲しい。私は、いや私だけじゃなく世界中の人がそう望んでいるはずだよ」

と言ってくれた。

「はい」

と力強く返事をして、まっすぐに王を見つめる。

そんな僕に王はまたにこやかな微笑みを送り、その横でシャルロッテ様も同じように微笑みを見せてくれた。

「精進しなさい。私たちにできることはなんでも協力するからね」

「ええ。困ったことがあったらすぐに相談してちょうだいね」

「はい。ありがとうございます」

「ははは。未来の勇者様が君で良かったよ」

「ええ。これからもロロアのこと頼みましたよ」

「はい。こちらこそよろしくお願いします」

と挨拶を交わしたところで、お開きの時間になる。

最後に、

「今日のお菓子はお土産にして持たせますからね。みんなで仲良く食べてちょうだい」

と言ってくれるシャルロッテ様にお礼を言って部屋を辞する。

そして僕は今度こそ本物のメイドさんに案内され、王城を後にした。

翌日。

さっそく朝食の席でアンネさんにお礼を言い、いつも通り授業を受ける。

お昼の時間には王城でもらったお菓子をみんなに振舞った。

「美味ぇ! さすが王室の味だなぁ」

「うん。小さい頃から食べている味に近かったからなんだか懐かしい気持ちになったよ」

「ははは。アルはいいもん食って育ってきたんだな」

「うん。ミュウさんの料理は世界一だからね」

「へぇ。それは私も一度食べてみたいな」

「卒業したらみんなでクルニ村に遊びに来てください。歓迎しますよ」

「あら。それはいいわね。卒業旅行にどうかしら?」

「あらそれはいいですわね」

「うふふ。今から楽しみだわ」

と楽しく話しながら食事とお菓子を楽しみ、午後の授業に戻っていく。

広い学院の廊下をみんなと歩きながら僕はその何気ない日常を心から楽しく思いつつ、

(この学院で僕はもっともっといろんなことを学ばなきゃいけない。そして、きっと立派な勇者になってみんなの笑顔を守ってみせる)

と改めて気合を入れなおした。


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