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世界樹の守護者、アル~追放から始まるほのぼの英雄譚~  作者: タツダノキイチ
第三章

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王立魔導学院07

翌日。

また朝食の席でアンネさんと会う。

「おはようアル君」

「おはようございます。アンネさん」

「疲れてなぁい?」

「はい。今日も元気です」

と会話を交わしてちょっとパサつくサンドイッチを一緒に食べる。

「アル君、選択授業は何を取っているんだったかしら?」

「僕は剣術と馬術です」

「あら。じゃあ私とは別々になっちゃうわね。ああ、でもそれならリエラと一緒かしら? うふふ。頑張ってね」

「はい」

と話してまた一緒に教室に向かうと、昨日と同じく授業が始まった。

午前中の授業を終え、また、アンネさんと一緒に食堂に向かう。

するとシャルさん、リエラさん、ノンナさんもやってきて昨日と同じように楽しい昼食の時間が始まった。

「そっか。アルは剣術と馬術なんだね。ってことは私と一緒か。えへへ、楽しみにしてるよ」

「剣術はともかく馬術は初めてなんでいろいろ教えてくださいね」

「ああ。任せてよ。なにせうちは代々騎士の家系だからね。小さいころから仕込まれてたんだ」

「そうなんですね。心強いです」

「二人とも楽しそう。私も運動ができたら一緒に剣術できたのに……」

「あら。アンネ様に剣術など不要ですわ。それよりも将来のために魔導の技術をお学びになりませんと」

「うん。わかってはいるんだけどね。なんだか、他の人がやっているのって楽しく見えちゃって」

「うふふ。それわかります。私も時々自分に剣術や魔法の才能があったらなぁって思っちゃいますから」

「そうよね、ノンナ。隣の芝生は青く見えるっていうけどあれって本当よね」

「ええ」

と話しているみんなはとても楽しそうだ。

僕はそんなみんなを羨ましく思いつつ、

(僕にもこんな風に遠慮なく話せる友達できるかな?)

と心の中で密かにそんなことを思った。

午後も難しい授業を受け、少し疲れて寮に戻り、ご飯を済ませる。

その日も甘えてくるデイジーと一緒にお風呂に入り、ほかほかの体で布団に入った。


翌日。

教室の移動中にノーブルさんを見かけたので、挨拶ついでにデイジーのことを相談する。

「ペット同伴で授業というのは聞いたことがありませんが、とりあえず学院長に伺ってみましょう。少々お時間をください」

「お願いします」

と簡単にお願いすると、それを聞いていたアンネさんが、

「アル君はペットを飼っているの?」

と興味津々という顔で聞いてきた。

「はい。こっちにはオコジョのデイジーを連れてきてますけど、村では猫のサクラと犬のスミレっていうお友達もいるんですよ」

「あら。それは羨ましいわ。今度会わせてちょうだい?」

「はい。いつでもいいですよ」

「ほんと? 約束ね!」

と無邪気に喜ぶアンネさんを見て、

(なんだか子供みたいな人だな)

と若干失礼なことを思う。

そしてその日も無事授業を受け終え、寮の部屋に戻っていった。

それから数日。

いよいよ剣術の授業の日が来る。

僕は事前の案内にあった通り使い慣れた木剣を持って授業に向かった。

訓練場の更衣室で普段の稽古着に着替えて訓練場に出る。

するとそこにはリエラさんの姿があり、

「おーい。アル! こっち、こっち!」

と僕を呼んでくれた。

「剣術、楽しみだね」

と、にこやかな顔で言ってくるリエラさんに、

「はい!」

と僕もにこやかに応える。

そしてそこへいかにも騎士という恰好をした先生がやってくるとさっそく剣術の授業が始まった。

「王立騎士団のハミングだ。今日から君たちに剣術を教えることになった。慣れない職で少し戸惑っているがよろしく頼む」

と少し低姿勢のハミング先生に倣ってさっそく素振りを始める。

僕はなんとなく、

(やっぱりエルフの国の剣術だけあって、ミュウさんが教えてくれるのに似てるな)

と思い、少し懐かしく思いながら楽しく剣を振った。

「よし。そこまで。どうやら基礎の出来にばらつきがあるようだな。初心者も混じっているようだから、それぞれの熟達度に合わせて打ち込みの稽古をしよう。えっと、そこの少年とその隣の子が一番出来ているみたいだから、二人は一緒に組んで適当に試合でもしていてくれ。あと、初心者や自身の無い者は私の所にきてくれ。基本的な剣の握り方から教えるぞ。あとは自由に組んで打ち込みの稽古をしてくれ」

という意外と放任主義なハミング先生の発言を受けてリエラさんと試合をすることになる。

僕はなんとなく緊張しながら、

「お願いします」

と軽く一礼して木剣を構えた。

「うん。こっちこそお願いね。ていうか、本当にエルフ流の剣術を習ったんだね。なんとなく構えでわかるよ。遠慮しなくていいから思いっきりかかってきて」

と言うリエラさんの構えは自然で全然隙が無いように見える。

僕はそれにやや戸惑いつつも、

(なんだかミュウさんと試合をするみたいだな……)

とまたも懐かしさを感じ、ワクワクしながらとりあえず牽制のつもりで軽く踏み込んでみた。

「おっと」

と少しわざとらしい感じのことを言ってリエラさんが難なく避ける。

その動きを見て僕は、

(ほんとだ。遠慮はいらないみたいだね)

と思いまた嬉しくなりながら、次の一撃を放った。

それも難なく受け止められ、今度はリエラさんが攻めてくる。

リエラさんの剣は素早く手数も多い印象で、どことなくライラちゃんのそれを思い起こさせた。

(ライラちゃん、元気かな……)

と余計なことを考えた隙に、

「ほら。ぼさっとしない!」

とリエラさんが剣を打ち込んでくる。

僕はそれをなんとかギリギリでかわしたが、少し冷や汗をかいてしまった。

「すみません」

と軽く謝り再び集中する。

いつものように魔力を練って全身に巡らせると、次第に体が熱くなってくるような感覚を持った。

(よし。いける)

と感じて一気に斬り込む。

すると、リエラさんは、

「うわっ! ちょ、待った!」

と言いつつ少し慌てた感じで僕の剣を受け止めた。

「へ?」

と少し間抜けな声を出し、きょとんとした顔でリエラさんを見つめる。

するとリエラさんはなんとも言えない苦笑いを浮かべ、

「今、すっごい魔力を感じたけど……」

と聞いてきた。

「あ、はい。身体強化を使ったので、たぶんそのせいで魔力を感じたんだと思います」

と素直に答える。

するとリエラさんはものすごく驚いた顔をしたあと、ニカッと笑って、

「なるほど。じゃあ、私も本気でいくね!」

と嬉しそうに剣を構えなおしてくれた。

「はい!」

と僕も応えて再び剣を構える。

しかし、そこへ、

「おい、こら! ちょっと待て、お前ら!」

というハミング先生の声が掛けられた。

「おいおい。今の魔力はなんだ?」

と言うハミング先生に、

「すみません。いつもの癖でつい身体強化を……」

と素直に謝る。

するとハミング先生は困ったように笑い、

「シルフォード隊長の娘さんのことは聞いていたが、まさか他にも使える子がいるとはなぁ。わかった。二人にはそのうちたっぷり稽古してもらうから、今日の所は普通に稽古してくれ。初日からケガでもされたらかなわん」

と言い、

「いいか。くれぐれもケガの無いようにな」

と念を押すような言葉を残して初心者組の方に戻っていった。

「あちゃぁ。怒られちゃったね」

「はい。すみません」

「あはは。いいよ、いいよ。でも驚いたよ。それも戦士様に?」

「いえ。身体強化はユリウスさんに習いました。僕と一緒に習っていた子も使えるんで、そんなにすごいことだとは思ってなくて……」

「……あはは。そりゃすごいや。ていうか、一緒に習ってたって子はどんな子?」

「はい。僕と同い年の獣人の女の子です」

「え? それってすごいね……」

「そうなんですか?」

「うん。獣人はそもそも身体能力が高いんだけど、それで身体強化が使えるとなったら、かなりのものだよ。ていうか、獣人なのに魔法の才能があるって、その子天才なんじゃない?」

「そうなんですか? 小さいころからずっと一緒だったんで、あまり意識したことはないですけど……」

「あはは……。やっぱりクルニ村って魔境なんじゃん」

と言って苦笑いを浮かべるリエラさんに、

「普通の村ですよ」

と、こちらも苦笑いで返して、試合を再開する。

身体強化を使わない状態だと、さすがにリエラさんの本気の打ち込みを受け止めるのは難しく、けっこういい試合はしたものの、僕は一度も勝つことが出来なかった。

「いやぁ、アル。なかなかいい剣筋だね。そのくらい使えるんだったら、そんじょそこらの騎士団員よりよっぽど強いんじゃないかい?」

と言うリエラさんに、

「まさか。それはないですよ」

と答えて授業を終える。

その日は、程よい疲れを感じながら寮に戻り、ぐっすり眠ることができた。


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