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世界樹の守護者、アル~追放から始まるほのぼの英雄譚~  作者: タツダノキイチ
第二章

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旅立ち02

冒険から帰り、また僕に日常が戻ってくる。

ライラちゃんとの稽古はますます熱が入ったし、リリカちゃんに負けないよう夕食後も少し勉強をするようになった。

そんな日常が繰り返されているうちにやってきた秋。

ロロアさんから、

「本格的に寒くなる前に世界樹に挨拶をしに行こう。アルの留学のことはサクラを通じて連絡しているけど、一応本人に会ってちゃんと伝えた方がいいだろうからね。あと、せっかくだからライラも連れていかないかい? 将来どうなるかはわからないけど、ここまで深くかかわったんだ。世界樹の存在くらい教えておいてもいいだろう」

と提案される。

僕が自分では判断できないと思って、夕食を食べに来ていたユリウスさんに視線を向けると、ユリウスさんはしっかりとうなずき、

「そうだな。ライラも今後何かの形で関わることになるかもしれん。いい頃合いだろう」

と言ったので、その場で近いうちに世界樹へ挨拶に行くことが決まった。

その数日後、いつものように玄関先でメルに見送られ、みんなで森へと向かっていく。

「ねぇねぇ。世界樹が綺麗ってほんと? あと、木なのにしゃべるの?」

と興味津々で聞いてくるライラちゃんと楽しく話しながら荷馬車に揺られていると、あっと言う間に森の入り口に着いた。

そこからも慣れた道をテキパキ進んでいく。

「ライラはマシロに会うのは初めてだよな。デカいからってビビってチビるなよ?」

「ビビらないっての! ガルボのおっちゃん、そんなんだから奥さんもらえないんだよ」

「なっ!?」

「ははは。一本取られたね」

「ええ。ガルボはもう少し繊細な乙女心がわかるようにならないといけませんよ?」

「……」

と時折冗談を言い合いながら楽しく進んでいると、夕暮れ前になっていつもの野営場所に到着した。

相変わらず野営中とは思えないほど美味しいミュウさんの料理を食べてゆっくり体を休める。

僕の隣で相変わらずもふもふを堪能させてくれるみんなに囲まれ、幸せな気持ちで目を閉じると、僕はあっと言う間に眠りに落ちていった。


翌朝。

早朝から行動を開始する。

マシロさんとの待ち合わせ場所までは少し距離があるようだったので、わりと急ぎ足で向かうことになった。

その甲斐あってか、夕方前には待ち合わせ場所に着く。

そこでスミレが、

「わおーん!」

と遠吠えをすると、やがて森の奥からゆっくりとマシロさんが姿を現した。

「でっけー……」

とライラちゃんが驚きの声を上げる。

そんな声が聞こえたのかマシロさんがニコリと笑い、

「はじめまして、お嬢さん」

と声を掛けてくる。

「……あ、は、初めまして、私、ライラ!」

と少し慌てて自己紹介をするライラちゃんにマシロさんはまた優しく微笑み、

「スミレの母のマシロよ。よろしくね」

と自己紹介を返した。

その後は、さすが物おじしないライラちゃんだけあって、

「フェンリルってたしか神獣様なんでしょ? 普段どんなことしてるの?」

とか、

「ねぇ。触ってもいい?」

というような感じで怖気ずくことなくマシロさんに話しかけ、一気に仲良くなる二人を見て少し安心する。

(こういうとこさすがだよな……)

と感心していると、マシロさんも同じようなことを思ったのか、

「うふふ。ライラはいい子ね。これからもスミレのお友達でいてあげてね」

とライラちゃんに気さくに声を掛けていた。

その夜もまたミュウさんの料理を囲み、穏やかな空の下で眠りに就く。

ライラちゃんはマシロさんのふかふかでもふもふの寝心地に感動して最初は少し興奮気味だったが、やがて、

「この感触最高……」

と、つぶやくとすぐに眠りに落ちていったようだった。

僕もその最高の感触を堪能しながら、ゆっくりとした気持ちで目を閉じる。

そして、明日からのことを考え少し気合を入れつつもゆったりとした気持ちで眠りに落ちていった。


翌朝。

「すごい! 高い! もっふもふ!」

とはしゃぐライラちゃんと一緒にマシロさんに乗せもらって先を急ぐ。

その日はそのまま順調に進んだが、翌日、当然のように魔獣に遭遇してしまった。

「どうする?」

「俺らで片付けてもいいが、せっかくだ。アルとライラにも参戦してもらおう」

「そうですね。サクラはスミレと一緒にアルちゃんとライラちゃんをしっかり守ってあげてね。デイジーもアルちゃんの魔法の強化頼んだわよ」

「にゃっ!」

「わん!」

「きゅぃっ!」

「じゃあ、一発目はロロアが頼む。先陣は俺が務めるぜ。徹底的に弾いて足止めするからユリウスは牽制とかく乱に徹してくれ。んでもってミュウ、アル、ライラが後方から魔法攻撃な」

「「はい!」」

「うふふ。大丈夫よ。サイクロプスは魔法に弱いからそんなに難しい相手じゃないわ。落ち着いてしっかり当てましょうね」

「「はい!」」

「よし。じゃあ、いくよ! ……デイナ!」

と、まずはロロアさんの聖魔法が広がり三匹ほどいたサイクロプスが苦悶の声を上げる。

「よっしゃ、行くぞ!」

と言ってガルボさんとユリウスさんが突っ込んで行くと、苦し紛れなのかデタラメに振り回されるサイクロプスの攻撃をことごとく受け止め、その足をしっかりと止めてくれた。

「いい? 少し近くまで行って大きいのを確実に当てるの。まずは見ていてね」

と優しく微笑み、ミュウさんがものすごい勢いでサイクロプスに突っ込んでいく。

そして、ある程度の所まで近寄ると、

「ふんっ!」

という気合の声と共に薙刀を大きく振り、特大の風魔法をサイクロプスに叩きつけた。

サイクロプスの胸からお腹にかけての広い範囲がぱっくりと割れる。

するとそこへガルボさんがすかさず防御魔法を張り、返り血を防いだ。

「……相変わらずえげつねぇなぁ」

「あら。それほどでもありませんわよ?」

と余裕の言葉を交わし、ミュウさんが前線に加わる。

それを見て僕らも前線に駆け出し、サイクロプスに肉薄した。

素早く僕の前に回り込んで防御魔法を展開してくれるサクラに感謝しつつ、集中し魔法で特大の旋風を巻き起こす。

その旋風はあっと言う間にサイクロプスを包囲すると、次々と風の刃を放ち、サイクロプスをズタボロに切り裂いていった。

「上手よ。アルちゃん。さぁ、次はライラちゃん、やってみて」

「はい!」

と元気よく返事をしてライラちゃんも同じようにサイクロプスに肉薄する。

そして、ライラちゃんはサイクロプスが放つ拳の攻撃を器用にかわしながら足もとまで近づき、まず足の腱の辺りに魔法を叩き込んだ。

「ギャオォッ!」

と妙な叫び声を上げて痛そうにうずくまったサイクロプスにライラちゃんが次々と火魔法を撃ち込んでいく。

その攻撃を受け、次第にボロボロになっていくサイクロプスを見ながら、僕は、

(うわぁ……、まさしくボコボコだね)

と少し呑気な感想を抱いた。

「これで最後!」

と叫んでライラちゃんがサイクロプスの首元に大きめの風魔法を叩き込む。

すると、サイクロプスの首が落ち、そこで勝負は決まった。

「わおーん!」

とスミレが勝鬨の声を上げる。

そして、僕たちはそれぞれに軽くハイタッチを交わし、お互いの健闘を称え合った。

「アルちゃんは一発で決めようとしたけど、ライラちゃんは手数で押そうと思ったのね? ちなみにそれぞれどんな考え方でそうしたか教えてもらえる?」

と聞いてくるミュウさんに、僕らはそれぞれ、

「はい。僕はサクラがきっちり防御してくれると思ったんで、そっちは任せて一気に決めることを選択しました」

「私は逆かな? これから冒険者として活動していくなら、サクラみたいに守ってくれる人が常にいるわけじゃないでしょ? だから、相手に攻撃する隙を与えないように手数で勝負したの」

と答える。

「そう。どちらもいい選択よ。特にライラは将来のことも考えられてて偉いわ。これで初心者卒業に一歩近づいたわね」

と優しく微笑みながら言ってくれるミュウさんのひと言にライラちゃんが、

「えへへ……」

と珍しく照れたような顔を見せた。

その後も、時々魔獣の相手をしながら三日ほど進む。

そして、僕らはついに世界樹の領域に入った。


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