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世界樹の守護者、アル~追放から始まるほのぼの英雄譚~  作者: タツダノキイチ
第一章

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28/88

もふもふと過ごす一日

ロロアさんたちが帰ってきた翌日。

もふもふのふかふかに包まれて目を覚ます。

「おはよう……」

と少し眠たい目をこすりながら挨拶をすると、みんなからも、

「きゅきゅっ!」(おはよう!)

「みゃぁ!」(おはよう! アル!)

「わっふ」(ごはんの匂いしてるよ!)

と元気な朝の挨拶が返ってきた。

「あはは。スミレは食いしん坊さんだね」

と笑った僕のお腹が突然きゅるりとなる。

「わん!」(アルも同じじゃん!)

と言ってスミレが笑い、サクラとデイジーもおかしそうに笑った。

「あはは……」

と笑って誤魔化しつつ朝の支度を整える。

すると、そこへメルが、

「アル様。ご飯ですよ」

と伝えにきてくれた。

「はーい!」

「わん!」

「にゃぁ!」

「きゅきゅっ!」

と返事をして元気に部屋を出る。

食堂に向かいながら、

「今日のご飯なに?」

と聞くとメルは嬉しそうに、

「出汁巻き卵とお魚の干物ですよ」

と教えてくれた。

(昨日はお肉たっぷりだったから、今朝はお魚なんだろうな)

と思いつつ、

「やった! ミュウさんの卵焼き甘くて美味しいから大好き!」

と思わず本音を漏らしてしまう。

「そうですね。私もいつかあんな卵焼きが焼けるようにがんばります!」

と、やる気を見せるメルを、

「うん! 頑張ってね!」

と笑顔で励ますと、僕たちはウキウキした足取りで食堂に入っていった。


「おはよう。アル」

「おはようございます。ロロアさん」

「今日も元気だね」

「はい! 昨日のご飯が美味しかったから元気モリモリです!」

「ははは。そいつはよかった。寄り道してまでニスモを狩ってきた甲斐があるってもんだよ」

「ニスモ?」

「ん? ああ。牛の魔獣さ。たいして強くないけど、とにかくデカいんだ。それに美味い」

「そうだったんですね。ありがとうございます」

「いや。もののついでってやつだからね。それより、今日は私たちは各自仕事があるから、お稽古とお勉強はお休みにするつもりなんだ。お友達と遊んでもいいし、何をしてもいいから、一日ゆっくりしてしていてくれ」

「はい。じゃあ、またリリカちゃんとライラちゃんを呼んでもいいですか?」

「ああ。かまわんよ。楽しく遊ぶといい」

「ありがとうございます」

と言っているところに、ミュウさんとメルが料理を運んでくる。

魚の香ばしい香りと、ふんわりと香るおみそ汁の香りが僕の鼻をくすぐり、また僕のお腹がきゅるりと鳴った。


「じゃあ、さっそくいただこうか」

「はい!」

と言ってさっそく、

「いただきます!」

と唱えると、みんなも、

「わん!」

「みぃ!」

「きゅきゅっ!」

と「いただきます」の声を揃えて、楽しい朝食が始まる。

僕たちはいつものように笑顔で食卓を囲み、楽しく一日をスタートさせた。


やがて、学問所が終わり、

「じゃあ、またね!」

「うん。すぐ行くね!」

とこの後一緒に遊ぶ約束をしてリリカちゃんたちと別れる。

僕は家までの道を小走りに駆け、少し息を切らしながら、

「ただいま!」

と元気よく挨拶をした。

「おかえりなさいませ。お菓子の準備は出来てますから、先に手を洗ってきてくださいね」

「はーい」

「今日は何をして遊ばれますか?」

「うーん。まだ決めてないけど……。あ、そうだ! せっかくならお庭でおやつを食べたいな! 敷物を敷いて、絵本で読んだピクニックみたいな感じで!」

「あら。それはいいですね。さっそく準備させていただきます」

「やった! あれ、楽しそうだから一回してみたかったんだよね」

「うふふ。楽しいピクニックになるといいですね」

「うん!」

と話してウキウキしながら洗面所に向かう。

そこにみんなもやって来て、

「わっふ」(ピクニックたのしみ!)

「きゅきゅっ!」(今日のおやつはナッツたっぷりのクッキーだよ!)

「みぃ!」(あと、シュークリームも作ってもらったの!)

とワイワイ言いながら、手を洗った。


ちょっとウズウズしながら、リリカちゃんとライラちゃんが来るのを待つ。

すると、間もなくしてちょっと息を切らしたリリカちゃんとライラちゃんがやってきた。

「ごめんください」

「はーい。どうぞ」

「今日のおやつなぁに?」

「あはは。クッキーとシュークリームだって」

「シュークリーム!?」

「うん。今日はお庭でピクニックごっこしながら一緒に食べよ?」

「まぁ! 素敵!」

「うん。きっといつもの何倍も美味しくなるよ」

「そっか。じゃあ、早くお庭に行こうよ!」

「もう。ライラったら……。その前にちゃんと手を洗わないとだめよ?」

「はーい」

という会話になんともいえないウキウキを感じる。

そして、僕たちはきちんと手を洗い、お庭に向かった。

綺麗な芝生の上に、敷物が敷かれ、バスケットが置かれている。

僕たちはさっそく敷物の上に飛び乗り、

「やった! ピクニックだ!」

「うん。なんか楽しいね」

「うふふ。お貴族様になったみたい!」

と、それぞれに感想を述べ、「あはは」と笑い合った。

そこにスミレとデイジー、サクラがやってくる。

スミレはさっそく「みゃぁ」と甘えた声で僕の膝の上に乗り、デイジーは僕のスルスルと僕の肩に登ってきた。

「あ。アル君いいなぁ。ねぇ。私も触っていい?」

「うん。大丈夫だよ。ね? サクラ?」

「……みゃぁ」(優しくね?)

「うん。あのね、優しくなら触っても大丈夫だって。スミレもいいかな?」

「わっふ!」(いいよ!)

「やった! じゃあ、私猫ちゃんなでなでする!」

「私はわんちゃん!」

と言って、リリカちゃんがサクラを優しく撫で始め、ライラちゃんがワシャワシャとスミレを撫でだす。

サクラは気持ちよさそうに、

「みゃぁ……」

と鳴き、スミレも嬉しそうに、

「わっふ!」

と鳴いて目を細めていた。

僕はデイジーをゆっくり撫で、そののんびりとした空間を楽しむように目を細める。

やがて、メルがジュースとお菓子を持ってきてくれたので、そこからは楽しいピクニックが始まった。

「うっまーい!」

「うん。このシュークリーム甘くてふわふわで美味しいね!」

「うふふ。私がミュウさんからコツを教わって作ったんですよ」

「ほんと? じゃあ、これはメルの味なんだね」

「うーん。味付けはほとんどミュウさんですから、まだまだミュウさんの味ですけど……」

「それでもすごいよ! ねぇ、リリカちゃん」

「うん。とっても美味しいです。中のクリームが甘いのにさっぱりしてるから、何個でも食べられそう!」

「あら。ありがとうございます。お土産にする分も作りましたから、お家でも食べてくださいね」

「ありがとうございます!」

「ねぇ、アル。こっちのクッキーも美味しいよ! サクサクでカリカリ!」

「ほんと? じゃあ一枚食べてみようかな?」

「はい。どうぞ」

「あ。ありがとう……。うん! ほんとだ。サクサクのクッキーの中からカリカリのナッツが出てきて口の中が面白いや。これもメルが作ったの?」

「いえ。そっちは完全にミュウさんの作品です」

「そっか。じゃあ、あとでお礼を言わないとね」

「はい。とっても喜ばれると思いますよ」

とお菓子の美味しさにみんなニコニコしながら、楽しくお話をする。

ジャック村長がまたお酒を飲み過ぎてリリカちゃんのお母さんが呆れていた話や、ライラちゃんのおばあちゃんが作るヨウカンというお菓子は村で一番美味しいというような話をして、みんなで「ははは」と笑い合った。

そして、お菓子を食べ終えたら今度はライラちゃんとスミレが追いかけっこを始める。

僕とリリカちゃんはデイジーとサクラを膝の上に乗せて、その楽しそうな様子を見守った。

そのうち、

「ねぇねぇ、アルとリリカも追いかけっこしようよ!」

「あはは。よし。負けないぞ!」

「私は運動苦手だからここで見てるね」

「えー?」

「うふふ。じゃあ、リリカちゃんにはご本を持ってきてあげましょうか。たしか、植物図鑑の新しいのがありますから、そちらでいいですか?」

「やった! ありがとうございます」

というやり取りで、なんとなく僕とライラちゃんが追いかけっこをしてリリカちゃんが本を読むという形になる。

そして、サクラとデイジーはすっかりリリカちゃんに心を許し、その膝の上で仲良く丸くなって眠ってしまった。

そんなサクラとデイジーを時々優しく撫でてやりながら本を読むリリカちゃんと、元気にスミレを追いかけまわすライラちゃんを見て、心の底から楽しいという感情が湧いてくる。

(ああ、僕、ここに来られてよかったなぁ……)

と、しみじみ思っていると、メルが、

「アル様。そろそろお時間ですよ」

と少し困ったような顔で僕にそろそろお開きの時間であることを告げてきた。

「……そっかぁ」

と心の底から寂しい思いで、返事をする。

リリカちゃんも悲しそうな顔になり、ライラちゃんは露骨に不満そうな顔で、

「えー……」

と言った。

「うふふ。明日からはお稽古が始まりますから、またいらしてくださいね」

というメルの言葉にライラちゃんが、ころっと表情を変え、

「うん! 剣術楽しみ!」

と大きな声で元気よく返事をする。

リリカちゃんも、ニコリと笑って、

「うん。私もこのご本の続きまた読みたいから楽しみだな」

と言うと、その日はみんな笑顔でお開きの時間を迎えた。

「今日はありがとう」

「うん。またね」

「また明日!」

と明るく別れの挨拶をしてリリカちゃんとライラちゃんを見送る。

僕はライラちゃんが言った「また明日」という言葉になんとも言えない嬉しさを感じながら、家の中に戻っていった。

気が付けばリビングの窓からは西日が差し込んできている。

(今日も楽しかったなぁ……)

と思いながら、その眩しさに目を細めていると、ミュウさんが、

「お食事の前にお風呂に入ってきてくださいね」

と言ってきた。

「はーい!」

「わん!」

「きゅきゅっ!」

「みゃぁ!」

と元気に返事をしてお風呂場に向かう。

そして僕は今日も、ぽかぽかになった体にほかほかのご飯をたっぷり詰め込んで、ふかふかのベッドに身を横たえた。

(ああ、幸せだなぁ……)

と思いながら、みんなのもふもふに包まれゆっくりと目を閉じる。

するとすぐに意識がとろんとしてきた。

(明日はどんな一日になるのかな……)

と考えて頬を緩める。

(きっと楽しいに決まっているよね)

と思うともっと楽しい気持ちになって、思わずにっこりと笑ってしまった。

そんな僕に甘やかな眠気が降りてくる。

僕はその誘いに抗うことなく、幸せな気持ちのまま夢の世界へと旅立っていった。


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