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いつもより静かな朝に

「ねぇママ、アレは?」


 忙しい朝。朝食、お弁当作りに勤しむ私に、寝床から起きて来た娘がそう問うた。


「アレはどうしたの?」

「アレ?」

「そう、アレ」


 私が指差した先を見て、娘が頷く。

 いつもアレに無関心でいた娘。今朝はとても静かだから、さすがに気になったようだ。

 毎日昼夜問わず、騒がしい、アレ。

 私が「アレ」としか言わなくなった為だろうか、娘もアレと呼ぶようになった。


「もう捨てちゃうから、アレとは今日でさようならよ」

「そっかー」


 娘はやはりさほど興味を持たず、幼稚園へと行く支度を始める。そろそろご飯を食べて、家を出ないと、幼稚園バスが迎えに来る。

 手のかからない娘は、しっかり身支度を終え、朝食をとる。

 その間にお弁当を作り終え、娘の鞄に入れる。


 娘は玄関に向かう前に、アレの方を見て手を振る。


「じゃあね、パパ」


 リビングで血を流して倒れているアレ。

 後は捨てるだけ。


 今日は燃えるゴミの日だからね。

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