異世界交換留学生
2156年科学者グラサザール・オブライアは『異世界への扉』の開発に成功した。
その100年後、世界立科学高校(WORLD Science high school)にて世界政府主導の全国家プロジェクト異世界交換留学生制度
通称『IKR計画』が始動しようとしていた。
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先日、科学高校からくじ引きで選ばれた生徒4名と引率教師2名がノルドワーク魔術学校へ派遣され、
ノルドワーク魔術学校から生徒4名と印刷教師2名が先程到着した。
この交換留学の目的としてはお互いの文化や工学を体験するとマスコミに流しているが本心は別にある。
世界立科学高校を管轄する世界政府としては異世界征服の第一歩としたい思惑がある。事前調査の結果、ノルドワーク魔術学校で教えられている魔術と言うものは現代世界の兵器を凌駕する力を誇り、もし今、地球に攻め込まれたら、簡単な制服されると言う計算結果をスーパーコンピュータが弾き出した。目的としては異文化交流としてあるが世界政府としては魔術の脅威度の確認と異世界の知能レベルの確認そして機密情報を盗み取るスパイとしての役割を教師達にさせる手筈となっている。
一方のノルドワーク魔術学校としても事前調査の結果、通常兵器自体への脅威度と言う意味では警戒はしているが魔術で対策可能と研究結果が出されひと安心と言ったところであるが『核兵器』と言う最終破壊兵器について調べていたところ、もし『核兵器』を使われた場合、今の魔術では対処不能との研究がなされた。
ノルドワーク魔術学校としての目的は文化交流などにしているが題目に過ぎず本来の目的は『核兵器』の性能の調査と魔術で対処可能かを調べることであった。仮に魔術で対処不能とされれば今回、送り込まれた留学生または教師がこの『異世界への扉』を破壊する手筈になっている。
もちろんこの扉を破壊すれば送り込まれた6人は見殺しである。
そして今『異世界への扉』が開き。ノルドワーク魔術学校からの交換留学生4名と引率教師が到着した。
科学高校の副学長は到着した6人と名簿を照らし合わせている。その名簿には写真と名前が載せられていた。
トリー・マグラス
印象としては金髪の好青年である。ハリウッド映画に出演していそうなオーラが感じられた。
エレンシア・マクラナハン
銀髪のストレート。種族としてはエルフなのが耳が長い。
アリスリア・シャンクソン
赤髪のショートボブ。町娘といった感じで気さくそうに思える。
ラリー・カミュラ
茶髪の青年。顔は日焼けしているが額から上が本来の肌色なのか?緑色である
グラサ・バクザール
老齢の爺さん。白髪混じりの黒髪、写真だけで強者と思える雰囲気を見に纏う。
カリナ・シノザキ
日本人らしい顔つき、黒髪ロング。かなり美人である。
だがその目の奥には燃える何かを宿している。
最初に出てきた老齢の爺さんを交換留学生のトップだと思い込みすぐさま駆け寄った小太りの学長はすぐに手を出して握手を求めた。
「バクサール殿ようこそ世界立科学高校へ」
「お招き感謝します。新道真学長。しかし私は責任者ではありません。彼女が今回の責任者カリナ・シノザキ。彼女はこの地球の日本という国の出身と話していたましたね。10年前、先生に殺されたとかなんとか……まぁ、過去の因縁は今は忘れましょうぞ」
バクザールは新道の握手を拒否し、新道の目線を隣で立っていたシノザキへ向かせると新道の顔色が一気に悪くなる。
「新道副学長?昇進なさったのですか……」
「……な、何故おまーー篠崎、が、ここに、ゆ、行方不明になったと……」
「さあ?何故でしょう」
「さぁ、さぁ!立ち話もなんですのでバクザール殿、篠崎殿そして留学生のみなさん我が校の生徒と対面と行きましょう、学長は次予定がありますのでここで失礼させてもらいます」
新道の裏に隠れていた副学長は2人の不自然な会話を止めるように声を差し込み、自然な雰囲気で学長の篠崎の間に入り学長を引き離す。
「わかりました。科学高校の生徒達。楽しみですね。皆さん早く向かいますよ」
バクザールが指揮をとり自身の生徒たちを動かす。
「シノザキくん。あなたも早くしてください。」
「わかりました、グラサ」
最後にシノザキが歩き出し学長とすれ違う時学長にしか聞こえないように小声で呟く。
「新道副学長、私はあの時の出来事を忘れる気はありません」
「し、篠崎……」
カリナ・シノザキは10年前、生徒としてこの世界立科学高校に在籍していた。順番満帆な学生生活を送ってい篠崎はある日を境に新道から性的関係を持たなければ退学にすると脅迫されていた。最初は拒否していたが、新道の脅迫は自分だけではなく周りにエスカレートしていき、性的関係を持ってしまった。新道との関係を持ち半年後、篠崎はそのことを当時の学長に訴えたが、その事を知った新道の権力により揉み消され、篠崎は殺害された……表向きには行方不明と処理され新道は権力に座ったままとなっていた。
「では、私は失礼します」
シノザキは少しだけ頭を下げバクザールについて行った。
篠崎の足音が聞こえなくなり、学長の脳みそは稼働し始め、最悪の想像が脳裏を過る。
「し、篠崎が……生きている……」