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コンコン。訪れたのは自宅から徒歩十秒の揺士の家。


横にはあるインターホンは使わずにドアを叩いた。間髪入れずにドアを開けて遠慮なく家に入っていった。ノックなんて形骸化されているだけだけど忘れたことはない。


まだ揺士の両親はこちらの味方。転校生にこんな事はできないだろ、薄っぺらい関係じゃ。


「おーい、起きろ~。美少女がおうちに来たぞ」


頬っぺたをつんつん、ビヨンビヨン、ムギュムギュどれも効果なし。胸はゆっくりと規則的に上下する。


起こす努力はした。休日だからと言って十時近くまで寝ているほうが悪い。


鼻をつまんで、口も抑える。これで起きない奴はいない。最終兵器だ。実験体はこいつだけだけど。


「フゴッ」


無呼吸症候群の人のいびきを上げて揺士は沈黙した。首だけで手を離そうとするが歴戦の手相手には分が悪い。


「ゴブっ」


体を跳ねさせながら、醜い声を出すと、揺士はゆっくりと目を開けた。


「おはよう、顔だけ洗ってきなさい」


「・・・あい」


揺士が力なく立ち上がり下の階の洗面所に向かっていく。顔が天井を向いたり、つま先を見たりと、赤ちゃんみたいに首が座ってない。


「大丈夫、いつも通りの私。ただの幼馴染の私」


格ゲーを勝手に起動させコントローラーを二つ取り出しておく。格ゲーはみんな大好きス○ブラ。結構やりこんでいて、私も揺士もVIPまで到達している。


「おふぁおう」


「おはよう、じゃあ早速やりますか。寝起きでって言い訳は通用しないからね」


揺士は下から持ってきたのだろうロールパンをくわえながら戻ってきた。私と揺士の間に残りのパンも置き、私も一個もらう。


「今の判定、おかしい!」


「はい、とどめ!」


ボタンを連打しても、健闘むなしく画面外に吹っ飛ばされる。


「もう~!!」


何戦やったか分からないが揺士のほうが若干多くの勝ち星を挙げてそうだ。声と同時に伸びた体をそのまま背中から床につける。揺士の顔には勝利感と達成感が浮かんでいた。


「お昼ご飯食べるか。母さんがチャーハンを作ってたはず」


ゲームの集中力も限界。時間も1時過ぎとご飯を食べるにちょうどいい。


二つのお皿に分けられたチャーハンをレンチンして、息を吸うように片方を受け取った。


揺士の母親に連絡していたわけではない、これが私たちの日常だ。私の両親も、揺士の両親もアニメのような私たちの仲を知っている。


彼氏彼女になったって、既に公認。面倒な顔合わせなんてしなくていい、逆についにか!と誰もかれもが喜んでくれる私のほうが便利だった思うのに。


なんで、違う女を選ぶかな・・・。


ダメダメっ、この思考は捨てるって決めたのに。


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