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漫才「主役になりたい」

作者: kemuri

A:ツッコミ

B:ボケ

A「よろしくお願いします~」

B「皆さんどうせ僕のことパッとしないなぁと思ってるでしょ」

A「卑屈とツカミの合体事故やめろ。いきなりどうした?」

B「こんな僕でも主役になりたいんです」

A「はあ」

B「僕小学生の時一回だけ劇に出たんですよ」

A「あ、分かった。木の役とかだったんでしょ」

B「水晶でした」

A「水晶?」

B「主役の魔女が水晶で未来を予知するシーンがあったんですけど、その水晶役でした」

A「で、でも重要アイテムだったってことでしょ?大抜擢では?」

B「当時クラスで一人だけ坊主だったんです」

A「すみませんでした」

B「よろしい。許そう」

A「卑屈と尊大の合体事故もやめろ」

B「とにかく僕も物語の主役になってみたいんです」

A「気持ちと事情は分かった」

B「それでですね、僕『走れメロス』が好きなんですよ」

A「あー、太宰治の。名作ですねえ」

B「で、僕の前世は『アキラ』という男だったんです」

A「ぜん…何?」

B「オリジナルの物語も考えたんですけど、皆さんついて来れないと思って」

A「既にだよ」

B「ここは『走れアキラ』という物語の主役になりたい」

A「待って待って。メロスをモチーフにするのは分かった。前世って何?」

B「やっぱりまだ完全な別人を演じるのは自信がなくて、少しでも自分に近い存在から始めたいんです」

A「それで前世って選択肢生えてくる人いる?」


B「アキラは激怒した。必ず、かの……」

A「……」

B「かの…」

A「邪智暴虐」

B「じゃちゅぼうぎゃくを取り除かねばならぬと決意した」

A「大丈夫かなあ」


B「ここが王都でござるかぁ」

A「アキラ思ったより昔の人間だな!?」

B「友のところへ嫁ぐ妹に、かんざしを買ってやらねば」

A「絶対売ってねえよ」

B「む?ふむ…ふむふむ…何と、この国の王はそこまで酷いのか」

A「あー実情を知るシーンだ」

B「このかわら版が確かなら」

A「かわら版」

B「(それがし)が止めねばならん!」

A「それがし」


B「こうして王城に向かったアキラ・メロスですが」

A「苗字!?」

B「バカ正直に王様へ文句を言いに行ったため捕まってしまいました」

A「まあ原作がそうだからね」

B「しかしそこで敵をバッタバッタと斬り倒し」

A「はいストップ」


B「何です?これから良いところなのに」

A「悪いことは言わないから原作をなぞった方がいい」

B「でも僕の予知によるとこちらの展開の方が」

A「水晶の過去は捨てろ!もういいから原作通りにしろって」


B「妹の結婚式をダシに猶予を勝ち取ったアキラは」

A「言い方」

B「セリヌンティウスを人質に差し出し、急いで村へ戻りました」

A「セリヌンティウスは変わらんのか」

B「セリヌンティ右衛門を人質に」

A「セリヌンティウスで良いです」


B「村に辿り着いたアキラ。あだ名で呼び合う仲の友に出迎えられます。(両手を広げて)──よくぞ戻ったな!アキラ・メロ!」

A「スは!?」

B「一文字だけ取った愛称は普通にあるでしょう、『かしゆか』とか」

A「最後の文字取るパターンそんなある?」

B「さて、妹の結婚式を見届けたアキラは、決意を新たにします。──きっと厳しい帰路になるでござろう。一刻も早く」

A「帰らないとね」

B「刀を研がねば」

A「何で!?走れよ!」

B「山賊に襲われる気がしてな」

A「予知をするな」

B「シャーコシャーコ…(刀を研ぐ動きをする)」

A「……」

B「シャーコシャーコ…(仕上がりを見て首をかしげる)…シャーコシャーコ」

A「こだわるの今じゃないだろ!走れ!」


B「王都へ向かい始めたアキラ。しかし道中の川は荒れ狂い、さらに"予知通り"山賊に襲われます」

A「ドヤ強調するな」

B「満身創痍のアキラはついに倒れてしまいました」

A「ああ、ハラハラするシーンだ」

B「許せ、友よ。私は走った。裏切るつもりなどなかったのだ。……いや、日没までには、まだ間がある。私を待っている人がいるのだ。私は諦めない!走れ!アキラメロ!!」

A「どっちだよ!!」


B「死力を振り絞り走ったアキラ。しかし王都に着いた頃には……すべてが終わっていました」

A「ええ!?間に合わなかった」

B「…ほらAさん、僕の言う通りにしないからバッドエンドになっちゃったじゃないですか」

A「いや、え、言う通りって?」

B「やはりあの時バッタバッタと斬り倒していれば」

A「運命の分岐点そこじゃねえよ!どう考えてもシャーコシャーコだよ」

B「おかしいな、こんなはずじゃなかったのに」

A「やっぱサムライが走れメロスを演るのは無理があるよ」

B「分かりました。次は『走れジョン』で行きます」

A「誰それ」

B「来世の僕」

A「予知をやめろ!もういいよ」

A&B「ありがとうございました」

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