お菓子とカレンダー
「パパなんかきらい!」
パパが急な出張に行く事になった。
忙しいパパだけど、11月のユメの誕生日には一緒に遊園地に行くはずだった。
しかもクリスマスにも帰れないかもしれないのだ。
「ごめんなあ、ユメ」
パパは謝ったけれど、ユメは許せなかった。
誕生日もクリスマスもパパがいないなんて絶対ありえない。ユメは絶対に許してなんかあげないと決めていた。
12月1日、ユメはママに1枚の絵を渡された。
「なあに、これ」
「これはね、アドベントカレンダーって言うのよ」
絵には大きな木が一本描かれている。
2枚の画用紙を貼り合わせたようになっていて、木の葉っぱや地面の石など、小さなはずせるしかけがあった。
「1日に1枚ずつ、この小さな絵をはずしていくの」
ママに言われて、ユメは葉っぱを1枚はずしてみた。
そこには雪の結晶が描かれている。
「わあ!」
「次はこの中から同じ絵を探してみて」
ママが出した、いろんな絵がかかれた小箱のあるケースから雪の結晶の小箱を探して開けると、中にはチョコレートが1個入っていた。
「チョコレート! 食べていい!?」
「いいわよ」
チョコレートはハート型でとても甘かった。
「他のは?」
「1日1個ね」
残念だけど仕方がない。
ユメは我慢することにしたのだった。
次の日は葉っぱから黄色いプレゼントの絵が出た。
小箱の中身はいちご味のキャンディだった。
3日目は地面の岩からウサギの絵が出てきた。
小箱の中身はさくさくのクッキーだった。
1日1個のしかけとお菓子。そして今日はクリスマスイブ。
でも、最後のしかけはどうしても見つからない。
「ママ、開けるところがないみたい」
「大丈夫、ここを見て」
そう言ってママは画用紙の端のところを指差した。
「2枚重なってるからはずしてみて」
ユメはゆっくりと画用紙をはずしていく。1枚目に隠れて見えなかったもう1枚の絵が姿をあらわした。
夜の森、降る雪、輝くもみの木と飾られたオーナメント。
木の下には森の動物たち。見上げる夜空には、プレゼントを降らせるサンタのそり。
「サンタさんだ……」
ユメが呟くと、居間のドアが開いた。
「メリークリスマス! ユメ、パパだよ!」
「パパ!」
ユメは思わずパパに飛びついた。
「ごめんね、ユメ。さみしかった?」
ユメはぶんぶん、と首を降る。
「ごめんね、パパ。きらいなんていってごめんね」
ママが笑いながら最後の小箱をユメに渡した。
中には小さなメモが入っていて、『パパとケーキ』と書かれていた。




