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奈落の月  作者: れのぺぱ
第二章 痴情の楽園
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第42話 ピッチピチのスベッスベなんだからね②

【主な登場人物】

逢沖あいず 悠斗ゆうと 十七歳

本作の主人公。眼科で『診断結果 魔眼覚醒』と言い渡され、世界の存亡をかけた戦いに巻き込まれていく。


七瀬ななせ 水月みずき 十七歳

人工魔眼持ちの少女。〝天理逆行〟を引き起こし、2070年の世界を再構築した。今は悠斗の家に居候中。


九条くじょう 莉奈りな 十七歳

悠斗の幼馴染。お金持ちのお嬢様だが割と庶民派で面倒見のいい性格。〝秘跡の魔眼〟の持ち主。


十文字じゅうもんじ かれん 自称二十歳

戒めの使徒。創世(そうせい)六位〝人間の創造主〟。悠斗に『診断結果 魔眼覚醒』と告げた人物。


きらきら輝夜かぐや 自称十四歳

戒めの使徒。創世一位〝光の創造主〟。恥ずかしがりやだが、戦うと結構強い…??


ルーナ(Luna)クレアーレ(Creare) 創世四位〝天体の創造主〟

〝神の兵器〟を欲しているようだが、その目的は一体……?


◆シロマロ 二十二歳

ルーナの子分その一。がたいのいい男。


◆クロマロ 二十二歳

ルーナの子分その二。痩せ気味の男。


◆千里眼 年齢不詳

ラメドに所属する人物。ルーナから危険視されている。

 

「オウオウ着いたぜお嬢様ァ!」


「ギャハハハ! 久しぶりのシャバだぜお嬢様ァ!」


 エレベーターが地下五十階に到着し、扉が開くと同時にシロマロとクロマロが外へ飛び出した。


「ハイハイ、バカ言ってないでちゃんと案内しなさいよ?」


「お任せしやがれぃ!」


「庭みてぇなもんだからなァ!」


 裸エプロン姿の二人が意気込んで力こぶを作ってみせた。こんな調子のせいで緊張感など皆無である。


 それでも──ここ地下五十階に於いて、悠斗達は慎重に行動せざるを得なかった。何しろこれまでの階層とは雰囲気が違い過ぎるのだ。


 熱気も、響いてくる音も、(わず)かな光も──全てが警鐘(けいしょう)を鳴らしているかのように五感を刺激してくる。


「暑いなここ……今だけ裸エプロンが羨ましい……」


「わたしも羨ましくなってきたかも……でもあの二人、いつの間にか莉奈(りな)のしもべみたいになちゃったね」


 水月(みずき)が服をパタパタさせながら前方に視線を向けた。


「やっぱアレか? 莉奈が女王様気質だから……」


「せめて王女様って言ってくれるかしら~? しもべ〝その三〟の悠斗くん?」


「ホラそういうとこー‼」


「ユートは分かってないなぁ。〝女王様〟と〝王女様〟は全然違うからね?」


「え、そうなの? どっちも同じような気がするけど」


「ううん、むしろ真逆だよ? 〝女王様〟はSで〝王女様〟はMなの」


 それはたぶん水月の頭の中でだけだが、今の悠斗は暑さで頭が回っていなかった。


「あー、まあ分からなくはない……かな? でもそれなら莉奈はやっぱ女王様だろ」


「悠斗ぉ~、アンタあとでパタパタくすぐり地獄の刑だからね!」


「ホラぁ‼ てかまたよく分かんない判決!」


「ね、ねぇ莉奈? わたし悪い子だからその刑されてみたいんだけど……」


 ドM疑惑で手配中の水月が出頭してきた。





 しばらく進んで開けた空間に出ると、ようやくシロマロとクロマロが足を止めた。


 そして何やら遠くをじっと見つめている。


「どうしたんだ? 着いたのか?」


 悠斗が二人の視線の先へ目を向けた。そこには巨大な柵で覆われた建物と人影が薄っすらと浮かび上がっている。


「何だよあれ……でかい柵で囲まれてる……⁉ まさかホントに捕まってるんじゃ……」


 僅かな灯りの中で悠斗が目を凝らしていると、横にいるシロマロが唐突に口を開いた。


「ルーナ様捕まってやがらねぇか⁉」


「え? どういう──」


「間違いねェぜシロマロ! ありゃルーナ様だ!」


 柵の方へ駆けていく二人に引かれるような形で悠斗達が後を追う。


「悠斗見える⁉ あれ──かれんさんと輝夜ちゃん!」


「ああ! アイツの仕業か⁉」


 フードをかぶった人物が一人、ゆっくりと歩きながら近づいてくる。


「俺を待たせるなよ……」


「オウオウ〝千里眼〟よォ! ルーナ様に何しやがった⁉」


「場合によっちゃテメェでも容赦しねえぜ⁉」


「バカは黙っていろ……俺はコイツに用がある」


「ハァァァん⁉」


「ギャハハハハ! バカをバカにすんじゃねぇぞ⁉」


 シロマロとクロマロはケンカ腰だとどうにもチンピラ感が否めない。


 対する千里眼の方は、挑発を無視して『コイツ』の前で立ち止まった。


逢沖(あいず)悠斗──俺に使われろ」


「──は?」


「もう一度言う。俺に使われろ」


「嫌です」


「ダメだ」


「嫌です」


「ダメだ」


「何でだよッ‼」


「お前の〝魔眼〟を使ってやる。拒否権はない」


「──‼ お前……おれが魔眼持ちだって知ってるのか……⁉」


「無論だ。抵抗すればあの二人が力ずくでお前を連れていく」


 千里眼が柵を見張っている従者を(あご)で指した。


「いや、勝手すぎるし……お前絶対友達いないだろ」


「……いる」


「いない」


「いる」


「いない」


「……」


(あ、黙った……‼)


「そこまで嫌なら金を持ってこい。それでお前は一時的に見逃してやる」


「勝手に何言ってんだよ。ちなみに聞いとくけど、いくらだ?」


「────まけてやるから十億だな」




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