表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奈落の月  作者: れのぺぱ
第二章 痴情の楽園
31/65

第30話 ちょっとそこまで空飛んできますね②

【主な登場人物】

逢沖あいず 悠斗ゆうと 十七歳

本作の主人公。眼科で『診断結果 魔眼覚醒』と言い渡され、世界の存亡をかけた戦いに巻き込まれていく。


七瀬ななせ 水月みずき 十七歳

人工魔眼持ちの少女。〝天理逆行〟を引き起こし、2070年の世界を再構築した。今は悠斗の家に居候中。


九条くじょう 莉奈りな 十七歳

悠斗の幼馴染。お金持ちのお嬢様だが割と庶民派で面倒見のいい性格。〝秘跡の魔眼〟の持ち主。


十文字じゅうもんじ かれん 自称二十歳

戒めの使徒。創世(そうせい)六位〝人間の創造主〟。悠斗に『診断結果 魔眼覚醒』と告げた人物。


きらきら輝夜かぐや 自称十四歳

戒めの使徒。創世一位〝光の創造主〟。恥ずかしがりやだが、戦うと結構強い…??


アルミラージ(Almiraj) 自称十五歳

戒めの使徒。創世五位〝動物の創造主〟。しゃべる珍獣ウサギでとにかくエロい。通称あーちゃん。


九条くじょう 玲奈れな 十五歳

莉奈の妹。旅先のドイツから急遽帰国した。


◆セバスチャン 六十歳

九条家の執事。とりあえず強い。


ニール(Nil)サンクトゥス(Sanctus) 目測二十代

戒めの使徒。創世七位〝??の創造主〟。まだ謎が多い。


◆ナムタル

〝冥界クルヌギア〟の首相。

 

 かれんの屋敷へ続く脇道にさしかかったところで悠斗(ゆうと)達が車を降りる。


 玲奈(れな)は一緒に降りたそうにしていたが、やはり疲れが溜まっていたようでそのまま大人しく家路に着いた。


 かれんからは『鍵開けとくから勝手に上がっておいで~』と言われていたが、言葉通りズカズカと上がり込むわけにはいかない。ノックするだけで壊れそうな、和風の木製扉を恐る恐る叩き「おじゃましまーす」と、誰もいない廊下に向かって挨拶をする。


 すると、足音がパタパタ聞こえてきて輝夜(かぐや)が迎えてくれた。


「みんないらっしゃい! かぐやが案内するね!」


 続いて通された部屋では、「やほ~」と手を振ってかれんが待っていた。


「ごめんね~急に呼び出しちゃって」


「どうしたの? かれんさん」


「モタモタしてたら人生も世界も終わっちゃうからね! 今度はこっちから仕掛けようと思って! まあまあ座りたまへ~」


 言われるまま全員が座布団に腰をおろす。


「──よし、では始めようか」


 急にかれんが戒めの使徒の表情(かお)になった。ご丁寧にお茶まで予め用意してあるところからして、それなりに緊急を要する内容のようだ。


「ニール・サンクトゥス──奴がこれからやろうとしている事が判明した以上、私達戒めの使徒はそれを止めに入る」


 かれんの瞳には決意の色が浮かんでいた。


「幸いなことにニールはまだ行動を起こしていない。タイミングの問題なのか、何か手順を踏む必要があるのか……それは分からないがね」


 悠斗達も次第に事の深刻さを思い出してきた。UNYOなんぞで盛り上がっている場合ではなかったのだ。


「そこで頼みがある──君達の力を貸してほしい」


「そんなの今更訊かなくてもおれ達は……」


「いや、これは危険な旅になる。ニールは強い。私でも手こずったからね。だから改めて確認しておきたいんだよ」


 改まってそう尋ねられると、やはりそれなりに考え込むものだ。


 それぞれが心に自問する────



 本当に立ち向かう覚悟があるのか?


 ただ流されているだけではないのか?


 恐怖を感じないのか?


 この状況から目を背ける事ができるのか──?



「わたしはやる。それにあの人だって……救いを求めてた」


「あたしも同じ。大切な人達の命が懸かってるんだもん。どこまでも足掻いてやろうじゃない」


「おう! 当たり前だ! ニールってヤツも含めて世界中救うに決まってんだろ‼」


 何の恥ずかしげもなく、それぞれが決意を口にした。


 かれんの顔が少しほころぶ。


「そうだな、ありがとう──」




「では状況を整理しておこうか。まずはニールの目的──地球ごと人類を滅ぼし生きたまま冥界へ向かうこと。だがそれは通過点に過ぎず、その先にある目的はまだ分からない」


「冥界といえば……ナムタルはどうなったんだろうな」


「ふむ、あの男は敵とも味方とも言い切れないからね。まだニールに捕まっているならこちらも動きやすくて都合がいい」


「そうね、あいつ水月(みずき)を狙ってたし、大人しくしといてもらわなきゃ」


「うん……そうだね──」


 水月の言葉は複雑な感情に染まっていた。


「水月、安心していい。君は生きていていいんだよ」


「────ありがとう、かれんさん」


「構わないさ。では次に人類を滅ぼす方法だ。グラヴィクスを使って天から大地を落とし地球ごと破壊する──おそらくこれは惑星同士の衝突とみて間違いないだろう」


「マジか……どんだけでかいスケールの話だよ」


「救い甲斐があるだろう? 以上を踏まえ、私達はこれから早急にグラヴィクスを見つけ出し、破壊しなければならない」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ