第26話 勝負パンツの穿きどころ間違えてますね①
【主な登場人物】
◆逢沖 悠斗 十七歳
本作の主人公。眼科で『診断結果 魔眼覚醒』と言い渡され、世界の存亡をかけた戦いに巻き込まれていく。
◆七瀬 水月 十七歳
人工魔眼持ちの少女。『天理逆行』引き起こし、2070年の世界を再構築した。今は悠斗の家に居候中。
◆九条 莉奈 十七歳
悠斗の幼馴染。お金持ちのお嬢様だが割と庶民派で面倒見のいい性格。『秘跡の魔眼』の持ち主。
◆十文字 かれん 自称二十歳
戒めの使徒。創世六位『人間の創造主』。悠斗に『診断結果 魔眼覚醒』と告げた人物。
◆煌々 輝夜 自称十四歳
戒めの使徒。創世一位『光の創造主』。恥ずかしがりやだが、戦うと結構強い…??
◆セバスチャン 六十歳
九条家の執事。とりあえず強い。
◆アルミラージ 自称十五歳
戒めの使徒。創世五位『動物の創造主』。しゃべる珍獣ウサギでとにかくエロい。通称あーちゃん。
◆ニール・サンクトゥス 目測二十代
戒めの使徒。創世七位『??の創造主』。まだ謎が多い。
◆ナムタル
『冥界クルヌギア』の首相。
【名前のみ判明している戒めの使徒】
◆レックス・ウォラーレ 創世二位『空の創造主』
◆クラルス・マグノリア 創世三位『自然の創造主』
◆ルーナ・クレアーレ 創世四位『天体の創造主』
時刻は夕方、悠斗達がセバスチャンのトレーニングルームを見学した日から数日経ったある日のこと。一人の少女が悠斗の家の前で立ち止まった。
「わ~懐かしー‼ 昔よく遊びに来たっけ……」
夕日に照らされ茜色に染まる景色。それが少女の胸に幼い頃の記憶を鮮やかに蘇らせた。
「よーし、久しぶりだしビックリさせてやろ! インターホンは押すだけ押してっと」
──ピーンポーン
「んぁ? 誰だろ」
悠斗が面倒くさそうに腰を上げた。
「はい──あれ? 誰も出ないんだけど……まさか今どきピンポンダッシュするヤツでもいるのか?」
インターホンの故障という可能性もなくはないので、気が進まないが悠斗は玄関まで確かめに行くことにした。ドアを少しだけ開けて声を掛ける。
「どなたですかー? ……マジで誰もいないっぽいな」
「んにゃッ‼」
「ぬっほォおおおおお‼」
「ドッキリ大成功‼ やーい、引っかかったぁ~」
ドアの影から勢いよく飛び出してきた少女がニマニマ笑っている。
「お、お前は……玲奈か⁉」
「そうだよ~っ! 愛しい愛しい悠斗にーちゃんのために帰ってまいりましたぁ~‼」
「もうちょっとフツーに声かけろよ」
「えぇーでもドキドキしたでしょ⁉ それに何だっけぇ~さっき凄い声上げてたのは……そうだ! ご近所様に今のを報告しに行こう!」
「それお前もイタい目見るからやめとけ」
そんなバカなやり取りをしていると、玲奈の後ろから声が聞こえてきた。
「ただいまユート、誰? その子」
「ただいま……って玲奈! どうしたのこんなとこで⁉」
「あ、おねーちゃん! たっだいまー‼」
「莉奈の妹さん?」
「そう、妹の玲奈っていうの」
「初めまして! 九条玲奈です!」
元気いっぱいの玲奈──彼女は姉とよく似ている。髪色は同じ淡いピンクで少し短めのツインテール。背は莉奈より若干低いだけなので、二人並ぶとすぐに姉妹だとわかる。
「初めまして玲奈ちゃん、わたしは七瀬水月、よろしくね!」
「よろしく七瀬さん! ん~なんかそっけないなー、水月ちゃんて呼んでもいい?」
「うん! その方が嬉しいかも!」
「生意気な妹だけど仲良くしてやってね。ところで玲奈……帰ってくるのもう少し先って言ってなかった?」
「あ……えっとね、ちょっと色々あって早く帰ってきちゃった」
「そーなの? ま、せっかくだし後でゆっくり聞いてあげる。上がってくでしょ?」
「とーぜん! あれ? でも待ってさっき、ただいまって……」
玲奈が頭を急回転させて状況を整理し始めた。
「お、おおおにおにおにーちゃま⁉」
「ん? 急にどした?」
「まさかこの三人で一緒に住んでる……の⁉」
「そうだけど?」
(愛の巣‼ あたしの想い出の場所が愛の巣に‼)
「ねぇねぇユート、アレいつも三人でやってるけど物足りないからさ……」
(3P⁉ しかも物足りないって、まさか悠斗にーちゃんヘタクソ……)
「今日は玲奈ちゃんもいれて四人でやろーよ!」
(4Pのお誘いきちゃったァ────ッ⁉)
「おういいぞ! やっぱ人数多い方がいいもんな! 玲奈、今日の夜は楽しみにしてろよ~、きっと白熱して眠れなくなるぞ?」
(今夜は寝かせないぜ的なアレですか⁉)
「えっと、いや……ああアタシにはまだ早いっていうか……心の準備が……ねぇ、おねーちゃん」
「あんた何遠慮してんのよ、せっかく来たんだから楽しみなさい!」
(姉公認ですか‼ すました顔しておねーちゃん、いつからそんな大人になったの⁉)
──晩ごはん。
「「いっただっきまーす‼」」
「あ、これおいしいじゃん」
「でしょ~」
皆でワイワイ楽しく食卓を囲む中、玲奈だけはひとり困惑していた。
(あぁ……ついにおいしくいただかれちゃうんだ、あたし……‼)
「今日はデザートもあるからな! 楽しみにしとけよ~‼」
玲奈が手に持っていた箸をポロっと落っことした。
(デザートってあたしか⁉ あたしのことなのか⁉)
──お風呂。
「玲奈ちゃんおっぱいおっきいー‼」
「ム……いつの間にか育ったわね……」
「玲奈ちゃん、ユートには気をつけた方がいいよ~!」
「え? な、なんで?」
「ユートはね、一瞬でわたしと莉奈の服を消した事があるの‼」
「そーそーホント、そんなことばっかり器用なんだから」
「へ、へぇ~」
(そんなに上手なの⁉ 気づかないうちに脱がされちゃうなんて……)
──運命の夜。
「もう出しちゃうの? ユート……」
「あぁ……これ以上はもう……っ、みんな見てるんだぞ……」
「わかった……出していいよ……っ」
二人の会話が熱を帯びてきた。
「ポロフォー‼ そしてUNYO‼」
(……UNYOかよぉぉぉぉ‼ 確かに三人だと物足りないけど⁉ 白熱して眠れなくなるけど⁉)
「う~っどうしよ……あ! スキップ、スキップ、スキップ、スキップ、UNYO‼ あがり‼」
「だぁぁちくしょー‼ また負けたあぁぁぁぁ‼」
「悠斗ってホントにこーゆーの弱いんだから」
「なぜだ……あ~やべ、さすがに毎日夜更かししてっから眠くなってきた」
(寝るんじゃねぇえええ‼ ここまできたら乙女の純潔奪ってから寝ろや‼ 旅先でふざけて買ったエッロいパンツ拝んでから寝ろや‼)
「悠斗にーちゃん……永遠に童貞な」
「何で⁉」