第22話 〝記憶 盈盈一水〟あなたと私
【登場人物】
■あなた ??
■私 ??
注)この小説は『奈落の月』です。
あなたを引き止めればよかった。
そうすれば、私は今でもあなたの横で笑っていられたのでしょうか。
泣きわめいてでも、引きずってでも、どう思われようと構わず引き止めるべきだったのです。
でも、私にはそれができませんでした。
できなかったのではなく、しなかったのかもしれません。
もうあなたに逢えなくなるような、そんな予感はしていたのですから。
だけど、今更悔やんだところで現実は変わりません。
寂しくて、悲しくて、あなたと過ごした日々を何度も何度も思い返しました。
そしてその度に私の心は悲鳴を上げます。
幸せな記憶であればある程、私の心を深く抉るのです。
それでも、その記憶に縋らずにはいられません。
見過ごしていた幸せを、失くした今になって噛み締めている愚か者がこの私です。
最後となってしまった様々な瞬間を、痛みに耐えながら抱きしめました。
最後に笑い合った時を。
最後に感じた温もりを。
最後に交わした言葉を。
最後に見た後ろ姿を。
しかしその痛みはいつの間にか耐えるものではなくなっていました。
その痛みこそが、幸せな日々の記憶が本物であった証となり、痛みがなければ幸せを感じる事ができなくなっていたのです。
私がいなくても、どうかあなただけは幸せでいられますように。
でもあなたは優しくて弱いから、きっと私の影を追って彷徨ってしまう。
もう後悔はしたくありません。
だから私は、抗うと決めました。
ここまで読んで頂いた方へ感謝を申し上げます。
本当に、ありがとうございます!!
この〝記憶 盈盈一水〟急にどうした、と思わせてしまう内容ですが、何の事かまだ分からないように書いています。
謎のポエムだと思って、今は軽〜く流して頂くのが丁度いいかと。
今後もこの盈盈一水シリーズ、たま〜に出てきて徐々に核心へと近づいていきます。
次回からはいつも通り、シリアス時々コメディなお話になるので、今後もお付合い頂ければ幸いです。