第五百九話『思いついたのにゃん』
第五百九話『思いついたのにゃん』
《にゃからって、お話を冒頭から脱線させにゃくても》
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
がばっ!
「きゃはっ。
目覚めに、
いいこと思いついたのわん。
となれば、
早速の速に」
ぱたぱたぱた。
「ねぇ、ミアン」
「おはようにゃん」
「あっ。
おはようなのわん」
「どうしたのにゃん?
朝っぱらから、
にゃあんか」
『元気いっぱい』
「にゃのにゃけれども」
「朝なのに、
元気いっぱいで、
悪いのわん?」
「悪くはにゃい、
のにゃけれども」
『ミーにゃんの起きがけ』
「って、たいがい」
『寝ぼけまなこで、
目をこすりにゃがら』
「っていうのが定番。
当たり前にゃもんでにゃ」
「それよ、それ」
『当たり前の日常』
「という硬くて大っきな壁を、
ぶっ飛ばして」
『奇想天外』
『空前絶後』
『前代未聞』
「などと、
ありとあらゆる言葉を、
連ねても、
まだまだ足りなくて困っちゃう」
『超摩訶不思議な未来』
「へと導いていく者。
それこそが誰あろう」
『イオラの森のお姫さま』
「な」
『アタシはミーナ!』
「なのわん!
……って判ってる?」
『はいにゃんはいにゃん』
「はあぁ。
——とため息をつくので、
精いっぱい——
……こともあろうに、
初っぱなから」
『心底、軽ぅく』
「いなされてしまったのわん」
《脱線すればため息もつくはず、と納得の末、つづくのにゃん》