神様「お前をこれから異世界に送ってやろう」俺「ありがとうございます!」神様「あれ?送ったのは良いが、何かを忘れてるような...?」
「目覚めよ...目覚めよ!」
その声に目を開くとそこは自分の家ではなかった。その異様な場所に、俺は辺りを見回す。周りは真っ暗で何も見えない。自分の周りの床には、大きく白い縁円のようになっている。一体これは..?
「目覚めたか?」
「あ、あなたは?」
突然目の前に現れる爺さんに動揺を見せる。突然意味のわからない場所に突然現れた爺さん。そりゃあ誰だって困惑するだろう。俺は恐る恐る聞いてみることにした。
「神じゃ」
「神?」
その言葉を繰り返す。神だなんて何を言っているのかと思ったがこのヘンテコな場所といい、もしかしたら間違いではないのではと思い始める。
「単刀直入に言おう。お前は死んだ」
「死んだ...!」
思い出した。俺はトラックにはねられて気づいたらここに...!
このシチュエーションということは考えられるのは1つ。異世界転生というやつだ。その類のものを読んでいるのでそういうのはわかる。というか、確実にそうだ。
「もしかしてチート能力で異世界に...」
「そうじゃ」
「やっぱり!」
可愛い女の子じゃなく爺さんなのは正直どうかと思うが、まあそんなことはどうでもいい。今から異世界に行ってチート能力でウハウハの人生が...!考えるだけでも楽しみで仕方がない。
「色々あるはが、どれがいい?」
その爺さんの目の前には白い紙が綺麗に並べられる。その空中で並べられた紙には色々と書いてある。創世の力...破壊の力...無限の力...悪魔の力...見えいるだけ楽しいぐらいだが選ばなければ。でもどれも良くて目移りしてしまうほど沢山ある。
「じゃーこの...創世の力で!」
「ではお前に創世の力を授け....る前に。あと一つ...なんじゃったかの?」
「大丈夫ですか?あと一つ、なんですか?」
異世界に行ける感情の高ぶりを抑えながらそう答える。爺さんはうーん、うーんと考えて数秒の後、「なんじゃったっけ?」と言った。なんだかこの爺さん、ボケているのか...?
「良く思い出してくださいよ!」
「そうじゃった!異世界に行くんじゃった!行くぞ!」
「そこから!?」
「行くぞ!!」
爺さんが杖を上に振ると俺の体はみるみるうちに浮かんで行く。すごい!これで異世界に..!」
俺の体は上に行き、消えていった。
「あれ?何か忘れてるような...まあいいか」
気がつくと野原にいた。空は青く、草は緑。ここが噂の異世界というやつなのか。そう思うと昂ぶっていた感情が抑えきれなくなる。俺はの野原を走り出し飛び上がった。念願の異世界!このチート能力でこの世界を牛耳れると思うとワクワクが止まらない。
「俺の冒険の第1部が始まるぞー!」
そんなことを言いながら歩いていると街が見えた。あれが街か...!遠くからでも黄色や赤を基調とした家々が見える。なかなかこの世界の奴らもちゃんとした家と言えるものを立っているようだな...。
そんなことを考えながら街の方に向かう。
街の中は賑やかで店があったり車が走っていたりと本格的なものだった。
歩いていると。向こうで何やら女性が嫌がっているような光景を目にする。これはヒロインポジションのような人が..!
「まてーい!嫌がっているだろう!その手を離せ!!」
3人組に俺はそう話しかける。嫌がっている女性はとても綺麗な人だ。白い服に青い透き通った目。間違いない。ヒロインのポジションだ。
その3人組はこちらに近づいてきた。なんだか世紀末に出てきそうなモヒカンのに目には青い星が書いてある。なんだか強そうだが予定通りだ。こちらには創世の力があるのだから...。あとは貰った創世の力でこいつらをボッコボコにして、女性を助けて...グフフ。
「俺の創生の力を見せてやる!!」
そう叫ぶが全く何も起こらない。拍子抜けした俺とモヒカンの男たち、そして女性。俺は「あれ?」と呟きながら手をあげたり振ったりするが全くと言っていいほど何も起こらない。ついにはモヒカンの男たちにボコボコにされてしまった。
その男たちは満足したのかどこかに行ってしまう
男たちが居なくなったからか、逃げるようにどこかに行ってしまう。
「くそー!どうなってんだ!」
そう言いながら歩く。おかしい、なぜ貰った創世ができないのか。やり方がおかしいのか...それとも...?
色々とポーズなりなんなりをやってみた。腕を上に上げる、横にする、創世!と叫んでみる、はああ!という声を出すなどなど。だが結果は同じだった。全く何も出ないのだ。これじゃあそこらへんにいる村人と同じではないか。
「助けてー!!」
そんな声が聞こえる。見てみると子供が川で溺れているではないか!今こそ、創世の力で...!!
俺は手を前にして「創世!!」と、叫んだ。だがやはりなにもでてこない。一体どうなっているんだ。
もしかしたら間違えて破壊や無限、悪魔の力などを得たのかもしれないと思い色々試してみた...のだがやはり何もおこらない。
「なんでだよ!俺の異世界チートハーレムウハウハ生活はどこ行ったんだよ!!!」
「お、まだやってるよ」
そこに現れたのは、先ほど俺をボコボコにした男たちだ。何やら仲間を引き連れている。一体何の用だと言うのか。
「もう少しボコボコにさせてくんなぁい?ストレス溜まっちゃってさあ?」
「いい気になんなよゴミ共が」
「あ??」
やばい、ついつい異世界転生主人公特有のイキリを使ってしまった。向こうはとっても怒っているようだ。もうこのままだったら行くしかない。創世の力で...こいつらを..!
「なっ!?」
「なんだ?」
俺の体がほんわかと光り始めた。なんだこれは?もしかしたら、もしかするかもしれない。そう思い俺は手を前に出した。
「創世ィィィィ!!!」
大きな声でそう叫んだ。だが結果はやはり何も出てこなかった。そして俺はまたボコボコにされた。先ほどよりもさらにボコボコだ。一体なんで出ないと言うのか...。
倒れている俺に一枚の紙が降ってきた。その紙の最初にある「神さま」と言う文字を見て俺は起き上がる。そこにはこう書かれていた。
『ごっめーん☆創世の能力を付与すんの忘れたーてへ!もう異世界行ったらどうしようもないから、なんの能力のないままその世界で頑張ってねー★
神様より』
その文面を見た俺はその紙をくしゃっと握りつぶしてこう叫んだ。
「あんのクソジジイがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」




