図書室のドア
今回は図書室!いろんなラブストーリーの舞台かと思われますが、活かしきれず安定のオチ。もちろん、ドアを開け閉めするくだりがあります。ぜひ、お楽しみください。
キーンコーンカーンコーン…
午後4時を知らせるチャイムが鳴った。そんな放課後。姫崎は図書委員なので、図書室のカウンターでひじをつきながら、手で顔を支えていた。つまり、周囲には誰もいなかった。外では、運動部が掛け声を出しているのと、吹奏楽部の音階を鳴らす音が聞こえてくる。
「 むー 」
姫崎は暇だった。仕方ないので、本でも読みながら時間をつぶすことにした。姫崎は新刊の冒険譚を読み始めた。気が付けば、はらはらしつつも、最後にはカッコよくキメてくれるヒーローにしびれていた。
(フェンスを軽くひょいって片手で乗り越えるのカッケー!)
ペラ。ペラ。ペラペラペラ…
キーンコーンカーンコーン…
「あれ?もう5時??戸締りしなきゃだ」
急いで身支度をすると、誰もいないのを確認してドアを閉める。
ガラガラ… カチャン。
「これでよしっと」
さぁ、帰るぞ!と姫崎がドアに背を向けた瞬間、
ドンドンドンッ (ガタガタガタ)
「おい、待て。まだ居る。ちゃんと見ろ!」
「えっっ?!!」
誰もいないと思っていたのに、内側からドアを叩く奴がいた。
「ちょっと?わかったから。一旦離れて」
驚きつつ声をかけて、急いで鍵をあけてやる。
カチャカチャ… ガラッ!!!
「わり…、ありがと 」
中から出てきた人に一言言ってやろうと思い顔を上げると、
「あれ?姫崎」
「げ、岡嶋?!え、どこにいたの(ドン引き)」
まさかの岡嶋だった。
(こいつ、毎回こうなの?)
姫崎は思わず考えてしまった。
「今日の当番、姫崎だったんだ。それは、秘密~」
「はぁ??」
「ここ、5時に閉まるんだね。
次からアラームセットしとくからさ」
「オイ。今日は天気悪いから早いだけ…」
「アラーム聞こえたらオレ探してね」
「ってオイ! 私はただのクラスメートでしょ」
「いーや?なんてったって、【ウワサの二人】でしょ?」
「はぁ。」
姫崎は必死に突っ込んで岡嶋の暴走を止めようとするも失敗した。疲れたのでもう全力で帰りたい姫崎だった。しかし、岡嶋は満面の笑みを浮かべる。
「さー、帰ろう!」
「えー!!?」
そろそろ、夕暮れ時だった。ただ、今日はあいにくの悪天候で曇り空だった。しかし、今になって雨が降り始め、話している間にどしゃぶりに変わっていた。
(仕方ないなぁ、もう。)
カラカラカラ… ぴしゃん。
姫崎の心に反して、ドアが軽快な音を立てて閉まった。
いかがでしょうか。続きはまだあります。
需要あるといいのですが…次もお楽しみに。