夢の扉
仕事に疲れてくたびれたサラリーマンが扉をくぐって癒される話。果たしてサラリーマンは無事にもどってこれるのか?
(内容はほのぼのゆるい系を目指しておりますので
ご安心ください ツルマキ)
「あら?あなたはそっちへ行くの?
なら、準備がいるわ。
ハイ、パジャマと抱き枕。
これで、夢の扉を通れるわ。気を付けてね。
良い夢を!
…おっと、鍵はこれね!
忘れないで。では~ 」
ぱたむ
俺が大人用の黒パジャマとふかふかの黒い羊の抱き枕を手にすると、知らない笑顔のお姉さんから押し込まれて扉を閉められた。鍵と言われて手渡されたのは、置き時計。まぁ、なんか布団もあるし、パジャマ着て早速眠るとするか。
俺は疲れているんだ。
ふと気が付くと、目の前は原っぱで柵が続いていた。柵を乗り越えると、向こう側がこちら側になった。誰もいない。羊の群れがはるか向こうにいて、かすかにメエメエ言っているだけだ。一面草原が広がり、視界は青と緑の見事なツートーンカラーである。そこに手のひらを一杯広げて寝そべる。
爽やかな風が吹いて、とても気持ちがいい。
体がなんだかふわふわして、いつもより軽い。
いつもはそんなに身体が重いのか。
疲れというのは、
知らないうちにたまっているものである。
太陽の光がポカポカして体全体があたたかくなってきた。伸びる。周りは静かでガチャガチャした音もなく、他人に神経をとがらせることもない。自分はそんなに神経を張り詰めていたのか。こんなにのびのびできることは稀なので、できるだけずっとここで休んでいたかった。が、しかしである。
ジリリリリリリ・・・・・
無情にも鍵として持たされた時計が
至福の瞬間の終わりを知らせた。
こうして、夢の扉はしまった。
読了、お疲れ様です。今回はサラリーマンが寝てスッキリするお話でした。私の実体験を元にだいぶ脚色してこのお話を作りました。睡眠は大切です。短くて読みやすいけど、ちょっと面白いようなお話を目指しております。
次はどんな扉、どんな鍵がでてくるでしょうか?
もし良ければ、次もお付き合いください。