ep.9♡虫のような猫のような
「おはようアリス!僕ちょっとラトヴィッジの所に届け物があるからアリスとクレミーはテーブルの上の朝ご飯食べて、暇だったらここら辺の散歩でもしてて!帰ってきたら街を案内するからさ。じゃあね!」
バタン!
あまりのマシンガントークに半分以上忘れてしまった。
とりあえず…ご飯と散歩って言ってたっけ?
♡♤♢♧
「あー!いい空気!」
クレミーと朝食を摂った後、二人でちょっと家の周りを散歩してるんだけど、周りが木に囲まれているせいか空気が澄んでいた。
「ねぇ~アリス~、僕ね、昨日ねぇ~ちょっと眠れたんだぁ~」
「そうなの?良かったね」
「うん。アリスと一緒に居ると安心してねぇ~」
クレミーがあたしの手をきゅっと握ってくる。ほんと可愛いなこいつ。
昨晩、クレミーとリルは動物の姿に戻ってあたしにぴったりくっついて眠っていた。
動物好きのあたしからすると天国でしたよ。
「アリス~、見て~!変な猫が居るぅ~」
「んー?…あ」
クレミーが指差した先には紫のしましまの猫が居た。あたしが前に向こうの世界で見た、あいつだ。
指差された猫も猫で動きを止めてこちらを見ていた。
「虫みたいな色だね~!あの猫!きもちわるい!」
「ふふ、何だって?坊や」
瞬きする間もなく、あたしの前には美青年が立っていた。紫の耳にしましまの尻尾。きっとこの人も、あの猫の人間バージョンなんだろう。にしても、驚いた。
「我が姫。俺はチシャ猫のノエルだ。ずっと君を見ていたよ。春も夏も秋も冬も。雨の日も雪の日も、もちろん晴れの日も。霙の時だって、君の事を想って…」
「行こうか、クレミー」
「うん~。行こぉ~」
一人話し続ける彼を置いて、あたし達は早々に家へ引き上げた。
「ノエルったらねぇ~、最近いっつもあんななのぉ~」
「あんな?」
「チシャ猫はなぞなぞが本業なのにぃ~、謎かけしないのぉ~。アリスに会ったらなぞなぞで惑わせる所なのにぃ、口説いちゃったりして~」
やだねぇ~とクレミーが笑う。
あれがチシャ猫のおかしな所ってことかぁ。
それもこれも、あたしのせいってことだよね…
「大した問題じゃないね」
「そうだね~」
すまん、ノエルさん。