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おかしな国のアリス  作者: milky
chapter.1♡Cards of the heart
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ep.1♡アリスは不幸体質




「まって!ウサギさん!」


…ああ。


「ふふ、こっちだよ、こっちこっち!」


こんな出会いなら、良かったのに!






♡♤♢♧



あたしは疲れていた。


生まれつきの霊感体質のせいで最近は夜も眠れていない。


そりゃあ何年も金縛りを経験してれば少しは慣れて来るのも確かだけど、奴はあたしが慣れるのを見越してベッドの上で(あたしの上と言った方が正しい)飛び跳ねるようになったのだ。

しかも姿が見えないときた。もはや不眠云々の話じゃない。


幽霊の類は小さい頃から何度も見ている。


最近見たのは不気味な男。確か黒いスーツに、黒い帽子をかぶっていた。帽子って言っても普通のじゃなくて所謂シルクハット。


公園のベンチに優雅に座って真っ赤な薔薇を片手に「やあ」なんて言うから気持ち悪くて思わず逃げた。

例え幽霊じゃなくても気持ち悪いのに変わりはないし。


その前は変な猫。

派手な紫色のしましまで虫を彷彿とさせる色彩だった。あたしをちらちら見ながら歩いていたけど、気持ち悪かったから思わず無視してしまった。



近いうちにお祓いに行かなきゃ、と思って居たんだけど。

例の公園でまた今日も見てしまった。


黒いスーツに、頭にはウサギの…耳。



やだ、この人コスプレしてる…

今更おかしな幽霊を見ても何とも思わないけど、コスプレは初めてでどんな死に方をしたのかが気になった。


とりあえず、無視、無視…




「あ、いたいたアリス!」



……え。


逃げようと思う間もなくゴキブリのように素早く近づいてきたウサ耳に、ぐいぐいと手を引っ張られた。



「ほらほら、早く早く!」


「え、ちょっと、あんた誰!」



まずい。このままだとあの世に連れて行かれる。

もっと早くお祓いしておくべきだった!


今は夜だし、奴は幽霊だから他の人には見えないし、絶望的としか言いようが無い。


よっ、と掛け声をかけてウサ耳はあたしを担ぎ上げると、ジャンプして穴の中に飛び込んだ。



…あれ?こんなところに穴、あいてたっけ?





「ぎゃああああ!警察ううううう!」




凄まじい浮遊感の中、あたしの声だけが激しく木霊した。









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