第1章~少女との出会い~
家を出て街の中心にあるギルドに向かう。ここ都市ミュステリオンは商業が盛んなため毎日活気に溢れている。
四方に門があるため出入りが楽にできる。そのため商人も多く訪れる。
「相変わらずにぎやかだな―。仕事ばっかりじゃなくて遊びたいよ。まったく」
「兄さんはまたそんなこと言って……。知らないですよ? 副隊長に起こられても」
う……。そこであえて副隊長をだすんだからフィオナは副隊長のこと尊敬してるんだな。
「あんまり物騒なこと言わないでくれよ。副隊長怒らせたら冗談抜きで死ぬかもしれないんだぞ?」
そう。何を隠そう副隊長はとっても美人で強く、さらに優しい。しかし、怒らせたら隊長なんて目じゃないくらい怖い。
そんな雑談をしているうちにギルドに到着した。
「うぃーす。ヴァイス=アインハルト来ました」
「よう。ヴァイス。相変わらず可愛い妹連れてるな。俺の嫁にくれよ―」
そうだ、そうだ。と周りからは絡まれる。いつものことながら鬱陶しい。
「ダメですよ。皆さん。私は兄さんのことが好きなんですから」
ぶはっ。嬉しすぎるけど周りの視線が痛い!
「……。朝っぱらからなに兄妹漫才してるんだ顔をした隊長が部屋から出てきた。
「隊長。おはようございます。今日はお話があるとかで」
「おお。そうだったな。とりあえず部屋入れ」
なんとか周りの視線から逃げ出すことに成功し隊長の部屋に入った。
「おはよう。ヴァイス、フィオナ。今日はわざわざ来てもらってごめんね」
部屋に入ると副隊長のルリアさんが挨拶をしてくれた。怒っていない時のルリアさんは本当に綺麗で優しい。
怒った時は…… 言うまでもない。
「いえ。何か厄介事ですか?隊長」
隊長は腕を組み何か思案をしている様子。これはよほど面倒なことなのだろう。
「実はな。最近"ミスト"が濃くなっているのを知っているだろう?」
ミストは魔物に影響し、凶暴化させる。しかし、現在この世界ではミストを利用して魔力を生み出して様々のことに使われている。
それによってここまで発展してきている。
「はい。知っています。凶暴化した魔物を相手にしたことがありますし……。 最近は量も増えてきているみたいですね」