第1章~少女との出会い~
「兄さん―― 朝ですよー。そろそろ起きてください」
階下から俺を呼ぶ声が聞こえてくる。ベッドで寝返りをうち、頭の上にある時計を見る。
「7時……。まだ寝てていいよな……。ごめん。お兄ちゃんは二度寝をします。おやすみ」
目を閉じ再び夢の世界へ旅立とうとした時、突然殺気を放つ者が現れた。
「兄さん。もちろんそのまま夢の世界へレッツゴーなんてことはないですよね?」
おお……。愛しの妹が怒っている!
か……可愛い!!
もう少しだけ寝たふりをしていたい。
「兄さん。……そろそろ殺しますよ?」
笑顔だ!天使の笑顔だ!
「すぐ起きます! もう起きます! 起きました!おはよう!フィオナ。」
あ……危ない。一生妹の顔を見れなくなるところだった。
「はい。おはようございます。朝ごはんできてますので早く降りてきて下さいね」
恐怖で目が覚め、五感が働いてくると下からいい香りがする。
着替えて降りてくるとテーブルには朝食が用意されている。湯気が出ていて温かそうだ。
「じゃあ食べるか。いただきます!」
うん。美味しい。流石は俺の妹だ。
「あ。兄さん。さっき隊長が来て後でギルドに来るようにとの事です」「ん。わかった。フィオナも一緒に行くんだろ?」
二人ともギルドに所属しているためよく召集がかかる。どうやらまた仕事のようだ。
「はい。二人で来るようにとの事でしたので」
二人でってのは珍しいな。どうせ隊長の事だから厄介な仕事なんだろう。
「そうか……。じゃあ少し早めに出よう。ごちそうさま」
手早く身支度を整え家を出た。