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第1章~少女との出会い~
「その話、もちろんヴァイスはやるわよね?」
なんとも図ったようなタイミングでルリアさんが部屋に入ってくる。その表情には逃がさないとでている。
「ぜ……ぜひやらしていただきます」
俺はそう言うしかなかった。
ギルドの裏には訓練するための広場がありそこで模擬戦をすることになった。お互いに位置につき構える。
「さて、私と戦うのはずいぶんと久しぶりだけど……ふふ、楽しみだわ」
そう言い銃を取り出す。ルリアさんの得物は魔導銃。両手に一丁ずつ持ちこちらへ向ける。
「俺も楽しみですよ。今回こそは勝たせてもらいます」
ルリアさんはこのギルドでも屈指の強さだ。ほとんどの隊員はおそらく勝ったことはないはず。そんな俺も勝ったことは今までに一度もない。
お互いに構えしばし静寂が訪れる。集中を高め戦闘体制に入る。左足を後ろに引き、右足を曲げ体重を乗せる。さらに魔力を集める。
隊長から模擬戦の合図の一声が響く。
「それでは…… 始め!」