序章~プロローグ~
足に魔力を集めじっと相手を見据え集中する。
―― アクセル!
一直線に斬りかかると見せかけ即座に背後にまわりこみ追撃をかける。
しかし全ての斬撃を防がれてしまう。剣と剣とがぶつかりあい、火花が散る。だが、完全に剣の芯で合わされ弾かれる。なのに相手は一歩も動いていない。
「流石は帝国随一の防御を誇るギャラハッドだな」
「貴殿こそ、なかなかの速さと斬撃だ。魔力の収束も決して悪くない。シュバルツ=アーテルよ」
……。素性がバレている。
「なるほど。こちらのことは調査済みか。ならこいつも、もちろん知っているんだろ?」
黒い宝石がある首飾りを外に出し見える位置に出す。月明かりを反射して輝く。
「ほう。貴殿がそれを持ってるとは」
素知らぬ態度をとるギャラハッドだが目つき少し鋭くなる。
「あんたたち帝国が血眼で探してるかの秘宝だよ。少しばかり話を……」
「それで交渉しようという算段なのだろう?」
こちらが言おうとしたことを先回りして言う。お互いに剣を向けあったまま話は進む。
「その通り。俺の要求は帝国騎士に入れてくれること。秘宝の捜索に加えてもらうこと。この2つだ」
ギャラハッドは少し間をおいて答えた。
「前者についててはどうすればいい?」
「単純だ。この場で私に一撃を入れてみせろ。」
帝国の壁と呼ばれるこの男に一撃を入れるのか……。難しいがこの機会は絶対に逃せない。