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第1章~少女との出会い~
すると、ふわっと笑った。
「ありがと。私は子供のころからミストを身体に取り込むことができたの」
今に始まったわけじゃないのかと少し驚く。
「でも、やっぱりそんなことができるのって私だけだったから……。よく学校とかではいじめられたわ」
ノーラは過去のことを思い出しながら話す。
「魔物からミストを取り込んだ時はその……上手くは言えないんだけど、感情?みたいなのが流れこんでくるの」
「感情?」
ミストに気持ちが刻まれるってことか?だとしたら本当に不思議な力だな。
「うん。悲しいよとか苦しいよとか…… どっちかって言うと暗い感情が伝わってくるの」
魔物の…… 気持ち……か。考えに浸っているとノーラは顔をうつむけこうぼそりと言う。
「あのワーウルフからはそれだけじゃなかったような気がするんだけど……」
そこで隊長は腰を上げる。
「ありがとう。ノーラ君。よくわかった。悪いのだが退院したらギルドにそこの兄妹と一緒に来てくれるか?」