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第1章~少女との出会い~
――翌日。
俺とフィオナはノーラの病室に来ていた。フィオナはそれほど傷はひどくなかった。
かく言う俺も魔力の消耗は大きかったが傷はそれほどでもなかった。
「ノーラさん。まだ眠ったままですね。大丈夫でしょうか……」
森で倒れてからノーラはまだ目をさまさない。医者の話では命に別状はないとの事だったのでひとまずは安心だ。
「邪魔するぞ――」
がらっとドアが開き、隊長と副隊長が入ってきた。いつもの仕事での雰囲気は無い。
「隊長、副隊長。お疲れ様です」
「おう。そっちのノーラって子の様子はどうだ?」
「はい。まだ眠ってます。いまは安定していますが……」
「そうか……」
みんなでノーラのことについて話し合ってるところでベッドから声が漏れてきた。
「ヴァ…… イス。おお……かみ」
うわごとのようにノーラから聞こえてくる。それは苦しみから助けを求めている。そんな風に俺には聞こえた。
「ノーラ、大丈夫か!俺ならここにいるぞ」
ノーラの強く握る。自分の存在を示すように両手で掴む。心の中で必死に自分の想いよ伝われと念じる。