第1章~少女との出会い~
「兄さん。街に戻りましょう。状況も確認したいですし」
「そうだな。…… よっと」
ノーラを背負いあげる。心地よい重みを背中に感じつつ歩き出す。
「そういえば兄さん。そちらの方は誰ですか?まだしっかりと紹介は受けてないですよ」
確かに……。紹介するの忘れてたな。
「こっちはノーラ。詳しいことは街についたら話すよ」
それにしても不思議な子だよな。ミストを魔物から吸収できるなんて……。あとはこの異常なミスト、喋る魔物か。
…… くそ。わからないことだらけだな。
森から出て北門につくとそこでは副隊長が隊員達を指揮していた。よく通る声で的確な指示をだし、後処理をしている。
すると、こちらと目が合うと少し小走りで駆け寄ってきた。
「ヴァイス、フィオナ!大丈夫!? ああ…こんなに傷だらけになっちゃって」
自分の体を改めて見てみると確かに傷がかなりある。服もぼろぼろだ。フィオナも傷の多さに驚いているようだ。
「すいません。ルリアさん」
ここは素直に頭を下げ謝る。無茶しちゃったのは事実だしな。
「まぁ反省してるならいいけど……。でも後で私のところに来てね。あ、もちろんフィオナもね」
……。これは暗にあとでお説教と言われてるようなもんだよ。