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第1章~少女との出会い~
「人間よ。ミストからの解放をしてくれたこと、感謝するぞ」
なっ……!?狼が喋った!それ以前に魔物が喋っただと?
信じられない現状に理解が追い付かない。それはフィオナも同じようで目を白黒させている。
「お前が…… 話しているのか?」
おずおずと尋ねてみる。必死に落ち着こうとするが上手くいかない。
「その通りだ。我はこの一帯のワーウルフ達をまとめているものだ。迷惑をかけた。すまない」
そう言うと頭を垂れる。
「いや、その…… 聞いてもいいか?」
「うむ。答えられる範囲でなら答えよう」
そう言うと後ろ足を曲げ座る。どうやら質問に答えてくれるそうなので率直に言ってみる。
「いったいどうやって俺たちに話しかけている?魔物が話すなんて聞いたこともない」
ワーウルフは目を瞑りしばし間をあけたあと、口を開いた。
「確かに人間と意志疎通を図れる魔物はそう多くはない。我は太古から生きている。よって魔力が高いのだ。だから意志を伝達できる」
なるほど。だから魔力障壁なんてできたのか。少しだが納得がいった。未だに半信半疑だがフィオナも一応の理解はしたようだ。