序章~プロローグ~
深夜だけあり見回りの兵も少なくうまく宮殿内を動きまわれていた。
長い廊下をいくつも駆け抜ける。
気配を消す魔法も月明かりがないことも手伝い、効果は上がっている。
「なんだか上手くいきすぎているような……。これで罠だったら笑えないな」
独り言をぶつぶつ言っていると、視界が開けたところに出た。
その瞬間背後から気配が現れた。しかもご丁寧にすごい殺気めで向けてくれている。
「侵入者が現れたようだがそれは貴殿のようだな。闇魔法で気配を薄くしてみたいだが?」
「っ!?」
まさか見つかった上に属性までバレるとは……
「ははっ。これは本気で笑えない……」
見たところ相手は帝国騎士あたりってところか。
少年はゆっくりと抜刀し剣先を相手に向けた。
「私は帝国騎士ギャラハッド。貴殿の名は何と言う? 黒服の男よ」
「俺か? 黒い服だしこの見た目だ。だから黒騎士ってのはどうだよ!」
言うと同時に斬りかかる。ギャラハッドも即座に抜刀し剣がぶつかり火花が散る。
「―― ハッ!」
「くっ! 今度は火の玉か!」
ギャラハッドは剣を振るい黒騎士と名乗る青年を弾いた後、続けて魔法弾を放ってきた。
ギリギリのところでかわしその背後からは炎が上がり熱を感じる。魔力を手に集めてから打つまでのラグが短い。練度は高いな。
「あんたは火属性か。しかもかなり強力な」