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第1章~少女との出会い~
ノーラは両手を前に出しワーウルフに近づける。そして柔らかく笑いかける。
「おいで。大丈夫、怖くないよ」
すると、ワーウルフとノーラとの間で暖かい光が放たれた。それはまるで太陽の陽射しのような暖かさ。
「一体…… 何?魔法?ううん。違う。こんなのは見たことがない」
フィオナは不思議さと好奇心が両方ありうずうずしているようだ。ノーラとワーウルフを交互に何度も見ている。
しばらくするとワーウルフからミストがノーラに流れている。光の珠が浮き出しノーラに注ぎこまれる。
「すごい…… ワーウルフから敵意が消えていく」
光が消えると同時にノーラが地面にへたりこむ。手を胸の前で抑え、少し苦しそうだ。
「大丈夫か、ノーラ!?」
慌てて駆け寄り抱き止める。かなり汗をかいていて無理をした様子がよくわかる。
「ごめん。大丈夫だから……」
大丈夫とは言うがノーラは驚いたような悲しいような表情をしている。
「兄さん。ワーウルフが……」
ワーウルフはむくりと立ち上がり再び視線を投げかける。しかし、先ほどのような殺気や敵意は感じられない。