第1章~少女との出会い~
ノーラは近づいてきて真剣な顔で言う。その様子は先程見せた表情のどちらでもない。
「わかった。でも、危険な目にあわせるんだから絶対に防御魔法からは出ないでくれ」
これに賭けるしかない。こっちも限界だし、フィオナに捕獲魔法を頼むか……。
「フィオナ! あいつの動きを止めてくれ!」
フィオナに大声で叫ぶ。丁度、追撃をかわしこちらへ来る。額には汗が滲み、疲れが顔に出ている。
「はぁ、はぁ。わかりました。なら氷属性ですね」
膝をつき目を瞑る。水と風を融け合わせる。すると、あたりの温度が下がり空気中のミストが凍り初めキラキラと輝く。
それを見てワーウルフは異変を感じとったのか、回り込もうとゆっくり牙を剥き出しながら歩いている。
「捕らえて。アイソレート!」
凍ったミストを操りワーウルフに襲いかかる。ワーウルフは飛び上がり避けようとするが空中で捕まり、地面にどさりと落ちる。
「ノーラ。いくぞ。ゆっくりと近づくからな」
こくりと頭を縦にふり、おそるおそる歩み寄る。足が凍り動かないワーウルフはこちらを睨みつけている。
「兄さん。気をつけて下さい。そちらの女の子にはケガはさせられませんからね」
わかってる。いざとなれば体を張るまでだ。