第1章~少女との出会い~
火と風の属性が混ざりあっていく。火は風を受けさらに燃え上がる。右手を前に出しワーウルフにかざす。
「焼きつくせ!フレイムバースト!」
火は渦を巻きながらワーウルフを包み込んでいく。ものすごい熱が伝わってくる。
「すごい炎だ。これなら押し通せるか?」
「いけない!兄さん、防いで!」
突然、障壁をまとったワーウルフが炎から飛び出してきた。油断していたため回避が間に合わない。
「うわっ!」
突進をくらい後ろへ飛ばされる。
ワーウルフは着地と同時にフィオナにとびかかる。
「くっ」
右手を前に出し魔力で防ぐ。爪がぶつかり衝撃が腕に伝わる。歯をくいしばり衝撃を流そうとするが受けきれない。
「ダメっ……。持たない!」
フィオナも障壁を破られ地面に体を打ち付ける。痛みに顔を歪めながらもワーウルフを視界に入れる。
「ヴァイスさん!大丈夫ですか!?」
ノーラが駆け寄って来る。緊張と恐怖で泣きそうな目をしているが勇気を振り絞って出てきたようだ。
「ノーラか。危ないから隠れてろって……」
ちくしょう。体が動かないな……。どうする?何かこの状況を打開することは……。
「ヴァイスさん。私試したいことがあるんです。少しの間動きを止めることはできますか?」