第1章~少女との出会い~
「あの…ヴァイスさん。何かあったんですか?ミストはなんか異常だし、来る途中でなんかいつもと違う雰囲気の魔物はいたし…」
「ああ…なんかここ最近ミストが濃くて魔物達が……って!その魔物どんなだった!?」
さらりと聞き流してしまうところだった!それすっごく重要な情報じゃん!
ノーラのさっき感じであまり真剣に話を聞いていなかったからな……。
「えっと確か……狼で毛並みが銀っぽかったかな?そういえばあれってワーウルフに似てましたよ」
ビンゴ。それだ。
「ノーラ。そこの場所覚えてるか?そいつを探してるんだ」
「はい。覚えてます。そんなに離れてないんで……えっと、こっちです」
ノーラに誘導されるまま後ろをついていく。その先には大きな木が一本あった。周りの木々より一回り幹も太い。
その枝に狼は座り街の方を見ていた。
「いた。なんだ…あれ。明らかに普通の魔物じゃない。ハンティングレベルもSクラスくらいか」
ハンティングレベルとはその名の通り難易度を表す。
下から見ていると狼はこちらに気づき、目があった。俊敏に動き木から降りてくる。かなりの高さなのに苦もなく着地した。
「ノーラ! すぐに茂みに隠れるんだ。こっちに来るなよ!」