第1章~少女との出会い~
森に入ると辺りにミストが漂っている。地中や木からもミストは噴き出している。
「こんなにミストが濃くなっているなんて…。一体何が起きてるんだ?」
神経を全身に張りめぐらせ主を探す。少しずつゆっくりと森の奥に入って行く。
「っ!?」
後ろで葉が揺れ、ばっと振り向いた。そこには金色の髪をした女の子がいた。怯えた目でこちらを見ている。
「君。大丈夫?立てるかい?」
女の子に近づきそっと手を差し出す。女の子はおずおずと手に触れてきた。
「あ、ありがとうございます」
安心したのか目には涙がうっすらと浮かんでいる。だが、足は震えていてやっと立っている状態だ。
一人で帰すのはむしろ危険……か。
「俺はギルドに所属しているヴァイス=アインハルトだ。えっと君の名前を聞いてもいいかな?」
「私は……私はノーラ=アリアといいます。えと、道に迷ってしまって…そのごめんなさい」
「いや大丈夫。今は一人だと危険だから一緒に来てもらうけど…」
「本当ですか!すっごい助かります!ぜひお願いします!」
目を輝かせさっきの怯えた表情とはまったく逆だ。
なんというか……切り替えが早い?
「じゃあそういうことで。俺から離れないで」