ネコにゃんVSロボネコにゃん
我が輩は、ネコにゃんだにゃん。
「我が輩」っていう言葉が、ネコにゃんだっていうことを解っている猫だにゃん。
つまり「我が輩」が「ネコにゃん」だったら、ここに居るネコにゃんは我が輩なのかネコにゃんなのか。難しい言葉では、あいでんてて-とか言うらしいにゃん。ネコにゃん、ひとつ賢くなったにゃん。
なんでこんな話をするかって? それは、我が輩のあいでんててーを左右する存在が産み出されたからにゃん。
あれが「ネコにゃん」ならば、我が輩は何か?
否、ネコにゃんはネコにゃんだけだにゃん。それ以外は認めないにゃん。
だから、我が輩はあいでんててーを確立するために、それと戦う事に決めたにゃん。
話は、ちょっと前に遡るにゃん。
「ネコにゃんを参考に? えらくまた……思い切ったね」
そう言ったのは我が輩の飼い主である香穂里さんだにゃん。香穂里さんの前に座っているのは、たしか「ナノ」たんとか呼ばれていたにゃん。
「ごくふつーの猫が良いのよ。普通の猫が、どういう習性をしているのかが、一番のミソなの。だから、貸して」
ナノたんは、我が輩の頭を撫でながらそう言ったにゃん。
「ごく普通」と言われると、何だか気分が悪いにゃん。でも、ナデナデのツボがとても気持ちよくて。
我が輩はナノたんの腕の中で不覚にも眠ってしまったにゃん。
目を覚ましたら、知らない場所だったにゃん。どんなに探しても香穂里さんはいないにゃん。この部屋に居るのは、ネコにゃんとナノたんだけだにゃん。
みゅうううう。
ネコにゃん、捨てられてしまったにゃーーーん。
もう、二度と香穂里さんにぎゅーっとされる事はないんだにゃん。そしておかえしにおっぱいもみもみ攻撃も出来ないんだにゃん……。
ネコは、家に憑くとか誰か言っていたにゃん。
ネコにゃんは、そんなことはないにゃん。香穂里さんが大好きで、だから香穂里さんのお家に住み着いたにゃん。
だから、香穂里さん以外の人からは、餌だって……。
「おはよー、ネコにゃん。ごはんだよ」
ゴロゴロ♪
はっ、いけないにゃん。他人から餌をもらうなんて、ネコにゃんのプライドが許さないにゃん。とりあえず、ナノりんの手をひっかいておくにゃん。
「いったぁぁ」
ざまみろ。追い出したいなら、追い出すにゃん。
「元気だねぇ、いい子いい子」
それなのに、ナノたんはネコにゃんを抱きしめたにゃん。
条件反射で、モミモミ攻撃……ちっちゃい。
いや、そんなことは問題ではない。これはネコのスキンシップなのである。だから他の人は真似をしてはいけないのである。
ちっちゃくても、ネコにゃんにも解ったにゃん。
心が大きい人だって。
ネコにゃん。ちょっと感動したにゃん。
ちょっとだけ思ってしまったにゃん。香穂里さんに捨てられても、仲間達に会えなくても、「まっいいか」って。
ナノりんと一緒ならいいかって。
でも、それは間違っていたにゃん。
ネコはそもそも、夜型にゃん。だから夜中に目を覚ましたネコにゃん……いや、我が輩は見てしまったのだ。悪魔の儀式を。
「で」
と、全身を黄色に脱色したヤンキーモンキー蘭たんが無感動に言ったにゃん。
「ネコにゃん型ロボットを作っていたわけだ。ナノりんは。よりによって……」
蘭たん、どうして言葉を濁すにゃん?
「まあ、面白いんじゃないですか?」
と、答えたのは野良アライグマのサッキー。普段はとても紳士なのに、怒ると爪が伸びて痛そうにゃん。
「ネコにゃん、ジェラシーでちゅー。可愛いでちゅー」
と、我が輩の神経を逆撫でしたのは、家出ハムスターのカジュブー。いつかはとか心のどこかで思っていたが、今、ここで喰ってやろうかと一瞬思ったにゃん。
自制自制。カジュブーは、大切な仲間にゃん。
「ナノたんは、ネコにゃんに代わるロボットを作って、ネコにゃんが出来なかった色んなことをするつもりにゃん。でも、きっとその前にネコにゃんが殺されるにゃん」
前に、テレビでそんな話を見た事があるにゃん。
野良な仲間達と違って、ネコにゃんはインテリじぇんすなんだにゃん。
「だったら、話は早いな」
と、蘭たんが言ったにゃん。なんだか不穏な気配にゃん。
「殺られる前に殺れ。まぁ、基本ですね」
ナチュラルに怖い事を言うのは、サッキー。
「ボクもネコにゃんを守るでちゅー」
そう言って、手をわきわきさせる、カジュブー。
みんな、ありがとうにゃん。
かくして、ネコにゃんとその仲間達VSロボネコにゃんの戦いの火ぶたが落とされたにゃん。
「ネコにゃん、どうして?」
悪魔の使い、ナノたんが言ったにゃん。どうしてもこうしてもないにゃん。ネコにゃんは断固、悪と戦うにゃん。
さあ、あの悪魔の兵器を出すにゃん。
とか思っていると、ナノたんはネコにゃんに駆け寄ってぎゅーってしてくれたにゃん。反射敵に……ネコのもみもみ攻撃! ちっちゃいけど落ち着くにゃーん。
はっ! こんなことをしている場合ではない!
「野郎共、かかれ!」
ネコにゃん、叫んでから先頭に立ってロボネコにゃんに襲いかかったにゃん。う、誰だ、ネコにゃんを止めるのは!! 蘭たん? 何故裏切る?!
「だって、あれただのダンシングキャットじゃん。何がロボネコにゃんだ。馬鹿馬鹿しい」
「可愛いでちゅー」
蘭たんとカジュブーが、ロボネコにゃんの側に行く。
危ない!
ネコにゃん、がんばってダッシュしたにゃん。
でも、間に合わなかったにゃん。
ロボネコにゃんは蘭たんを感知すると、ネコだけに許された特権を披露したにゃん。
すなわち。「おっぱいもみもみ攻撃」
危ない!! でも、足が動かない!
数秒後には、両手両足を引き裂かれたロボネコにゃんが転がっていたにゃん……。ナノたんが悲鳴を上げてへたり込んでいるのが見えたにゃん。
そして。
まだ、気が済まないのかネコにゃんを振り返った蘭たんの眼は、とても冷たく……それでも、炎を宿していたにゃん……。
とばっちりを食らって、ふらふらになりながら、それでも香穂里さんの家にたどりついた。
嫌な匂いがすると思ったら、やっぱり居た。
「あ、ネコにゃん。おかえり。さっきはよくもやってくれたわね」
振り返ったのは、やっぱりナノたん。
「誰にでも愛される愛玩ロボットにしたつもりだったのに、ほんにんに嫌われたら、仕方ないか」
あっけらかんと笑う。こんなナノたんは大好きだ。そして、我が輩は自分の勘違いをとても反省したにゃん。「誰にでも愛されるロボット」その言葉に、じーんときたにゃん。
「でも、セクハラ猫はさすがに誰にでも愛されるってわけにはいかないか」
あははと、大きな声で笑いながらナノたんが言う。
いや、そこは是非、小声で。
ほら。香穂里さんがさっきの蘭たん以上に冷たい目で……。
久し振りの更新になりました。
本日は、ネコにゃんの日(にゃーにゃーにゃーの日らしい)ので、がんばってみました。
パワー不足は否めませんが、久し振りのネコにゃん。
少しでも可愛いと思って頂ければ幸いです。