肉はウマい
肉は、うまい。
ただのたんぱく質の塊なのに、うまい。
何かで味付けすれば、さらにうまい。
塩を振って焼くだけで、だいたいうまい。
具と一緒に煮込んでも、そうとううまい。
肉は…とにかく、ウマイのだ。
ナイフとフォークで一口大にカットし、もぐっと口に入れる。
一口大に成形調理した肉を、ポイッと口の中に放り込む。
ワイルドにかぶりつくこともある。
すべての肉が与えたもうてくれる、咀嚼という至福の時間。
肉そのものの味もウマイが、肉以外の部分もウマくなるのがいい。
肉と具材が織りなす神秘の融合が、神をも唸らせるウマさを生み出すのだ。
肉料理という形態になる事で…感動が爆増することは否めない。
肉があるからこそ…至福の満足に至る料理は完成するのだ。
減った腹を満たす、肉の…饗宴。
生で食らっていた時代を経て、火を通すという道を選び。
焼いて食べるだけで満足していた時代を乗り越え、具材と共に料理へと昇華する運命を受け入れ。
肉は、確固たる『肉』として存在しているからこそ…そのウマさは格別なのだ。
肉としてこの世に存在しているものは、すべて…ウマい。
肉としてこの世界で食されているものは、すべて…貴い。
肉、ああ…肉。
肉…、ああ、肉。
腹が減ったら、まず肉。
ガッツリ腹を満たすなら、やっぱり肉。
ステーキに、ハンバーグ、すき焼き。
唐揚げに、ローストチキン、ユッケ。
肉巻きおにぎりに、豚キムチ、コンビーフ。
生ハムに、ソーセージ、ベーコン。
肉すいに、焼き肉、ローストビーフ。
生姜焼きに、角煮、しゃぶしゃぶ。
トンカツに、肉じゃが、餃子。
食べれば食べるほどに広がってゆく、肉の可能性。
肉…、肉は、本当に…ウマい。
……この仕事が終わったら、絶対に肉、食べるんだ。
決意を胸に、仕事に取り組む私であったが。
買い置きの肉は、すっからかん。
缶詰めも、レトルトパックも、冷凍食品もすっからかん。
近所のスーパーの肉の棚も、棚卸しのせいですっからかん。
牛丼屋は事件が起きて閉鎖されてるし、ハンバーグ屋も焼き肉店も営業終了時間だし。
コンビニに行けば…肉まん売り切れ、お弁当類全滅、甘い菓子パンしか残ってない上に…ビーフジャーキーまで品切れ?!
こんなこと、許されるわけ……?!
すっからかんの胃袋を抱えたまま、卵サンドときつねうどんのカップ、わさビーフにのしいか、チョコもなかアイスとウーロン茶を買い込んだ私は…とりあえずの腹を満たしたのだった。




