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この世は、ウマいものだらけ…  作者: たかさば


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魚はウマい

 魚は、うまい。


 ただ焼いただけなのに、うまい。

 新鮮なやつなら、生でもうまい。

 煮付けたら、だいたいうまい。

 天ぷらにしたら、そうとううまい。

 鍋に入れても、しみじみうまい。

 干したやつを炙っても、すこぶるうまい。


 魚は…とにかく、ウマイのだ。


 魚を捌いて食べやすい形に成形し、焼いて、そっと口に入れる。

 魚が口の中でほろりとほぐれて、香りとうま味が広がり、咀嚼という至福の時間が訪れる。

 

 魚そのものの味もウマイが、魚と寄り添う食材もウマイ。

 魚と白いごはんが織りなす神秘の融合たるや、まさに神をも唸らせるウマさなのだ。


 魚に手を加え、料理として仕上がる事で…感動をもたらす物体へと変容する。

 魚という食材は、満足という至福を味わうためにこの世に生み出されたのではあるまいか。


 減った腹を満たす、魚たちの…ファイナルステージ。


 海、川、池…、生まれ育った場所からさらわれ、地上で命を散らす、魚。

 水に抱かれ育んだ命を、水のない、まな板の上で。


 命をいただいているのだと…身が引き締まる思いだ。

 命をつないでいくのだと…ありがたくいただく。


 魚は、『命』として存在していたからこそ…そのウマさは格別なのだ。


 魚、ああ、魚。

 魚…、ああ…、魚……。


 たまに食べたくなる、焼き魚。

 酒のつまみに欠かせない、ひもの。

 健康に良いという噂の、青魚。

 半額になっていたら絶対に買ってしまう、アジフライ。

 たまの贅沢に選びたい、カマ焼き定食。

 30%引きだったら躊躇なくかごに入れる、お刺身盛り合わせ。

 鯖缶は三つくらい常備している。

 カルシウム不足を補うアーモンドフィッシュは気軽に食べられるお気に入りのおやつだ。


 サンマにイワシにぶりにさわら、ホッケにアジにカツオ、太刀魚にうなぎ、アユに赤魚、タイにカサゴ、ハゼにフグ、メカジキにメルルーサ、カレイにヒラメ、サバにマグロ、ええとそれから……。


 魚…、魚は、本当に…ウマい。


 ……この仕事が終わったら、絶対に魚、食べるんだ。

 決意を胸に、仕事に取り組む私であったが。


「なんか、作るのめんどくさいな…」

「出来合いのものを買って帰ろうか…げえ、なんか高い!」

「時間が早すぎて割引シールも貼られてない!」

「何この寿司パック…ちょ、1680円?!たかっ!!!」


 近所の牛丼屋に向かい、牛鮭定食を食べて満足した私は、次のボーナスでウマい海鮮料理屋を訪れることを誓ったのだった。

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