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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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くまの背中

作者: ラベンダー
掲載日:2025/11/11

私の部屋には、母からもらったくまのぬいぐるみがいる。 小さな頃からずっと、私を見守ってくれていた。 その丸い目は、何も言わないけれど、いつも私の気持ちを知っているようだった。


彼とは一年付き合っている。 優しい人だと思っていた。 でも、いつの間にか、私の「選ぶ」という感覚は彼の「決める」にすり替えられていた。 デートの場所も、時間も、話す内容も。 そして今日、彼は私の部屋に来た。


「ねぇ、加奈」 彼の声は、いつも通り穏やかだった。 でもその言葉の奥に、何か重たいものが潜んでいた。


「俺とSEXしてくれ」彼はそう言った。


私は、言われるままにしようと思った。彼は私の身体を触って、キスをしてきた。


彼はくまのぬいぐるみの視線が気になると言った。私はそれに従い、くまのぬいぐるみを壁に向けた。 その瞬間、胸の奥で何かが音もなく崩れ落ちた。


誰にも気づかれない、小さな悲鳴のように。


私たちはそのまま一夜を共にした。私は何も感じなかった。 ただ、くまのぬいぐるみの背中が、私の心のように見えた。


それから彼は、何度も私の部屋に来た。 同じように、同じ時間を繰り返した。 私は、くまのぬいぐるみを壁に向けることに慣れてしまった。


ある日、彼が突然亡くなった。 原因は不明。 彼の身体は、絞った雑巾のようにねじれていたという。 私は泣かなかった。 涙は、もう枯れていたのかもしれない。


その夜、私はくまのぬいぐるみを抱きしめた。 壁に向けていたその背中を、そっとこちらに向けて。 丸い目が、静かに私を見つめていた。


「ごめんね」 私はそう言って、くまのぬいぐるみに顔をうずめた。 その柔らかさが、初めて私を守ってくれた気がした。

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